瑠璃光寺(読み)るりこうじ

日本歴史地名大系 「瑠璃光寺」の解説

瑠璃光寺
るりこうじ

[現在地名]山口市香山町

山口市街の北方、大蔵たいぞう山の南麓にある。山号は保寧山、曹洞宗本尊薬師如来

応仁二年(一四六八)陶弘房は大内政弘に従い、京都で戦死したが、その妻仁保氏は菩提のため文明三年(一四七一)吉敷よしき仁保にほ小高野おたかのに一寺を建立安養あんよう寺とよんだ。開祖は石屋門派の大庵。のち寺域が狭隘なため隣山に一寺を建て、弘房の持仏薬師を本尊とし、保寧山瑠璃光寺と号し、安養寺を廃して旧寺地を瑠璃光寺に寄進した。

瑠璃光寺は薩摩福昌寺の開山石屋真梁の門流で、日本国中曹洞宗僧録の一員、中国三ヵ寺の一とされ、資格は中本寺。


瑠璃光寺
るりこうじ

[現在地名]安岐町糸永

杉山すぎやまの最高所に位置しているため椙山と号し、天台宗、本尊薬師如来。養老元年(七一七)仁聞の開基と伝える。一六世紀半ばの成立と思われる六郷二十八山本寺目録(太宰管内志)に、末山分末寺八ヵ寺の一つとして記される。本堂内陣には本尊薬師如来像・釈迦如来像とともに、木造阿弥陀如来立像一躯があり、県指定文化財。榧材一木造で、浅い彫りや、やや簡略な衣文表現、素朴な感じに国東地方仏師の特色をとどめた遺作といえる。藤原時代の作と推定される。足利尊氏の祈願所として寺勢を有した時期もあったという。


瑠璃光寺
るりこうじ

[現在地名]神戸町神戸

神戸の南端、現在の鍛冶屋かじや町地区の中央に位置する。明月山と号し、臨済宗妙心寺派。本尊は薬師如来。弘仁年間(八一〇―八二四)最澄の開基と伝え天台宗であったが、中世に至り衰退した。元和年間(一六一五―二四)愚堂が中興開基となって禅宗に改宗し、寺の再興に尽した。境内の薬師堂にある薬師如来像は最澄の作といわれる(濃陽志略)。「賤の小手巻」によると日吉神社の神宮寺という(新撰美濃志)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「瑠璃光寺」の意味・わかりやすい解説

瑠璃光寺
るりこうじ

山口市香山町にある曹洞(そうとう)宗の寺。保寧山(ほねいさん)と号する。本尊は薬師如来(やくしにょらい)。応仁(おうにん)の乱で戦死した陶(すえ)弘房の菩提(ぼだい)を弔うため、その夫人が1471年(文明3)に吉敷(よしき)郡仁保(にほ)村(現山口市仁保中郷)に一寺を建立し安養(あんよう)寺と称した。開山は大庵須益(たいあんすやく)。その後1492年(明応1)に弘房の持仏薬師如来を本尊として隣地に寺を建立、安養寺を廃して瑠璃光寺と改めた。1586年(天正14)小倉(こくら)(北九州市)で没した吉川元春(きっかわもとはる)の霊牌(れいはい)所となり、元春の法名により海翁(かいおう)寺と称したが、のち旧号に復する。当寺は中国三か寺の一つで、一時は中国地方に門末170余か寺を擁した。1690年(元禄3)仁保から香積(こうしゃく)寺の旧地であった現在地に移る。香積寺大内義弘(よしひろ)が建立、1604年(慶長9)に毛利(もうり)氏が解体して五重塔国宝)のみ残されていた。五重塔は、大内盛見(もりはる)が兄義弘(よしひろ)の霊を弔うために建立したものといい、瑠璃光寺移転で同寺のものとなった。寺宝には『正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)』の写本(県有形文化財)などがある。

[菅沼 晃]


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百科事典マイペディア 「瑠璃光寺」の意味・わかりやすい解説

瑠璃光寺【るりこうじ】

山口市にある曹洞宗の寺。本尊薬師如来。応仁・文明の乱で戦死した陶弘房(すえひろふさ)の菩提を弔うため,妻仁保(にほ)氏が1471年吉敷(よしき)郡小高野(おたかの)に建立した安養寺が前身。後寺域を広げて瑠璃光寺を建立。1609年吉川元春(きっかわもとはる)の牌所とされた時海翁(かいおう)寺と改称したが,後旧号に復した。1690年大内義弘(よしひろ)の菩提寺であった香積(こうしゃく)寺の旧跡に移転。香積寺の遺構である室町時代の五重塔は国宝。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「瑠璃光寺」の意味・わかりやすい解説

瑠璃光寺
るりこうじ

山口市にある曹洞宗の寺院。文明年間 (1469~87) に陶 (すえ) 弘房が創立し,江戸時代中期に現在地へ移転した。この地は大内義弘が南北朝時代末頃に香積寺 (こうしゃくじ) を建てた旧地。五重塔は大内盛見が兄の義弘のために建立したもので,各層の逓減率も大きく,室町時代の塔の秀作で国宝。

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デジタル大辞泉プラス 「瑠璃光寺」の解説

瑠璃光寺

山口県山口市香山町にある曹洞宗の寺院。山号は保寧山、本尊は薬師如来。五重塔は国宝に指定。

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