萱場(読み)かやば

日本歴史地名大系 「萱場」の解説

萱場
かやば

[現在地名]福島市笹木野 萱場

笹木野ささきの村の西側に位置。集落と梨畑が広がる。まつ川扇状地南側に位置し、萱場梨栽培の発祥地として知られる。梨の栽培を始めたのは鴫原佐蔵で、明治一四年(一八八一)火災にあい家財を焼失し、笹木野原に移って開墾に従事した。砂利がちで作物の育ちも悪かったが、栃木県日光の叔父から梨の栽培法を習って苗木五〇本を試植したことが、萱場梨の始まりとなった。同二〇年に佐蔵水田を売渡し、その資金をもとに梨苗五〇〇本を植えたところ、一応の収穫を得た。また栽培方法の改良、病害虫の消毒法の研究を重ね、同二九年以降は生産も急速に伸びた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の萱場の言及

【村中入会】より

…日本の近世期における農用林野利用の一形態。小農が自立して本百姓となり,本百姓(高持百姓)を村落構成員とする近世村落(小農村落)が成立すると,自立した本百姓の生産・生活を維持・補強するために,村落構成員(本百姓)のすべてが村落規制のもとにある入会地(刈敷山(かりしきやま),柴山,秣場(まぐさば),萱場(かやば)など)に対して共同の利用権を持つ。このような農用林野の利用形態が村中入会で,林野に対する近世領主権の支配の確立と,そのもとにおける小農の本百姓への自立とをまって,はじめて成立する。…

※「萱場」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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