福島市(読み)フクシマシ

デジタル大辞泉 「福島市」の意味・読み・例文・類語

ふくしま‐し【福島市】

福島

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日本歴史地名大系 「福島市」の解説

福島市
ふくしまし

面積:七四六・四八平方キロ

県の北端、中通り北部に位置する。東は宮城県白石市、伊達郡桑折こおり町・伊達町・保原ほばら町・霊山りようぜん町・飯野いいの町、安達郡東和とうわ町、南は安達郡安達町・二本松市、西は耶麻郡猪苗代町、山形県米沢市・同県東置賜ひがしおきたま高畠たかはた町、北は宮城県刈田かつたしち宿しゆく町と接する。阿武隈川が市域の中央東寄りを北流し、同川左岸に北から摺上すりかみ川・まつ川・あら川など市域西部を占める奥羽山脈に発する諸河川が合流する。阿武隈川およびその支流の中・下流域には福島盆地が広がる。阿武隈川右岸には阿武隈高地の末端がかかる。鉄道は福島盆地を南北に縦断してJR東北本線・東北新幹線が通り、福島駅でJR奥羽本線が分岐する。また福島と保原町方面を結ぶ阿武隈急行、飯坂いいざか温泉と結ぶ福島交通飯坂線がある。道路は東北本線と並行して国道四号が通り、福島市街地で米沢市に至る国道一三号、東の霊山町・相馬市、西の猪苗代町に至る国道一一五号、川俣かわまた町に至る国道一一四号などが分岐する。東北自動車道には福島西インターチェンジと福島飯坂インターチェンジがある。また伊達町から飯坂温泉を経て、摺上川に沿って高畠町に至る国道三九九号や、観光道路である磐梯吾妻スカイライン、フルーツラインなどがある。市名は、杉妻すぎのめ(大仏城)を文禄二年(一五九三)改称したという福島城に由来する。市域は近世の信夫しのぶ郡全域と、伊達郡九村および安達郡二村からなる。

〔原始〕

奥羽山脈と阿武隈高地に挟まれて福島盆地が形成され、古く当地一帯は海あるいは湖であったという伝承がある。縄文時代では草創期の遺跡として松川町水原まつかわまちみずはら仙台内前せんだいうちまえ遺跡、前期では同じく松川町水原の宇輪台うわだい遺跡がある。中期の遺跡には飯坂町中野いいざかまちなかの月崎つきざき遺跡、中期後葉の集落跡を検出した荒井あらい愛宕原あたごはら遺跡がある。後期から晩期にかけては飯坂町東湯野の上岡いいざかまちひがしゆののかみおか遺跡が知られ、座する土偶が出土した。飯坂町の穴田あなだ遺跡は縄文時代晩期から弥生時代にかけての遺跡で、松川町の南諏訪原みなみすわはら遺跡は縄文時代晩期後葉の遺構のほか、奈良・平安時代から近世に及ぶ住居跡も検出された。瀬上せのうえ町の青柳あおやぎ遺跡は弥生時代中期前葉の再葬墓である。おもな古墳として下鳥渡の稲荷塚しもとりわたのいなりづか古墳・八幡塚はちまんづか古墳、阿武隈川右岸の鎌田かまたにあるつき輪山わやま一号墳が知られる。稲荷塚古墳は五世紀代の円墳、八幡塚古墳は五世紀末から六世紀初頭の前方後円墳とされる。月ノ輪山一号墳は月ノ輪山古墳群中の一基で、頭椎大刀や馬具・装身具など出土品が多く、被葬者は七世紀前半に勢力を有した氏族と推定されている。


福島市
ふくしまし

2008年7月1日:福島市が伊達郡飯野町を編入
【福島市】福島県
【飯野町】福島県:伊達郡

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「福島市」の意味・わかりやすい解説

福島〔市〕
ふくしま

福島県北部,福島盆地にある市。県庁所在地。1907年市制。1947年瀬上町と渡利村,杉妻村,岡山村,鎌田村,清水村の 5村,吉井田村の一部,さらに1954年余目村,1955年大笹生村,笹谷村,荒井村,土湯村,吉井田村,立子山村の 5村と霊山町の一部,1956年佐倉村,1964年飯坂町,1966年松川町と信夫村,1968年吾妻町,2008年飯野町をそれぞれ編入。信夫山 (272m) を北にして市街地が開け,阿武隈川が貫流。鎌倉時代杉妻氏が築城,天正 19 (1591) 年蒲生氏の所領となり福島城と改称。のち本荘氏,本多氏,堀田氏,板倉氏の城下町として繁栄。奥州街道米沢街道の会合点で,阿武隈川水運の河港も置かれ,交通の要地となり,明治4 (1871) 年の廃藩置県後,県庁所在地。幕末から信夫,伊達の養蚕地帯を背景に生糸取引で栄え,1910年代から製糸工場が進出。第2次世界大戦中の疎開工場が定着し,機械,食品工業が発展。周辺農村部ではナシ,リンゴ,モモ,野菜の栽培が盛ん。県庁をはじめ,大学,銀行,新聞社などが都心部に集中。特に杉妻町は官庁地区,置賜 (おきたま) 通り,栄町などは商業地区を形成している。飯坂温泉土湯温泉,磐梯吾妻スカイラインなどの観光地や,文知摺観音 (もちずりかんのん) ,大蔵寺,黒岩虚空蔵尊,医王寺などの名所がある。信夫山の羽黒神社に大わらじを奉納する「暁参り」の行事は有名。また,金沢の羽山ごもりは国の重要無形民俗文化財に指定。そのほか,下鳥渡供養石塔鮎滝渡船場跡,宮畑遺跡が国の史跡に指定されている。吾妻山ヤエハクサンシャクナゲ自生地は国の天然記念物。市域の一部は磐梯朝日国立公園に属する。東北新幹線,山形新幹線,JR東北本線,奥羽本線などの幹線鉄道をはじめ,東北自動車道,国道4号線,13号線,114号線,115号線が通る。面積 767.72km2。人口 28万2693(2020)。

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世界大百科事典(旧版)内の福島市の言及

【古市氏】より

…代々興福寺大乗院方の衆徒であった。本貫地は現奈良市東南方の福島市(ふくしまのいち)で,室町時代中期の給分としては,福島市の下司職(げししき)を〈惣知行〉するほか,高田荘切田米,狭竹荘請口内60貫文,上生講田作主職,越前河口荘藤沢名半分を与えられていた(《三箇院家抄》)。福島市は鎌倉時代後期に奈良の南市に移され,以後福島市は古市と呼ばれた。…

※「福島市」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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