岩石が風化作用により崩壊し、流水その他の摩耗作用によってできた丸みをもつ粗粒。コンクリートに用いる場合、粗骨材という。通常粒径5ミリメートル以上、40ミリメートル以下程度の粒をいう。粒径12~13センチメートル程度より大きいものを玉石という。岩石や玉石をクラッシャーにより砂利と同程度の粒径に砕いたものを砕石(砂利)という。
砂利は産地によって川砂利、山砂利、海砂利などと区分される。また組成や成因などによって普通砂利、火山砂利(軽量砂利)、人工軽量粗骨材、砕石、高炉スラグ粗骨材(製鉄の際に高炉から発生するスラグを徐冷してクラッシャーで破砕し整粒した砂利)などがある。用途によりコンクリート用粗骨材、路盤用、切込(きりこみ)砂利などに区分される。
砂利の性質のほとんどは粒を構成する造岩鉱物の種類、性質によって決まるので、産地や河川によって性質が決まるといってもよい。火成岩地帯の河川からは硬質の砂利が産出し、房総半島などでは堆積(たいせき)岩質の比較的軟質の砂利が採取される。普通の砂利は比重2.5~2.7、吸水率0.6~5.0%である。比重は軟質な砂利ほど小さく、吸水率は大きい。川砂利は粒形が球状で、水に洗われているので清浄である。旧河川敷の砂利や山砂利は有機質や粘土などを含むので洗浄する必要がある。この洗浄泥水の処理はしばしば環境汚染を引き起こし問題となる。砕石(砂利)は良質の母岩を選定すれば、強度、耐久性の点では安心である。一部の砕石についてアルカリ骨材反応(セメント中の酸化ナトリウムや酸化カリウムと反応して膨張し、コンクリートにひび割れを生ずる現象)が発生し、2000年(平成12)には、高速道路などの道路橋でアルカリ骨材反応が起きているのがみつかり、大きな問題となった。クラッシャーで破砕し、ふるいでふるって整粒するので粒度分布はよい反面、形状が角張っているが、天然砂利の枯渇からコンクリート用砕石が漸増している。海砂利は波浪作用により粒形がよい。海産骨材は塩化物の洗浄を十分に行わないと鉄筋が錆(さ)びる。
河川産砂利や海砂利は採取規制が厳しく生産量は少なくなった。旧河川敷の砂利や山砂利は採掘権の取得がむずかしく、洗浄泥水の処分などの点で将来の生産量はあまり期待できない。そのため、砕石、高炉スラグ砕石などに依存する傾向にあり、2004年の骨材消費量1億7000万トンのうち砕石が約40%を占めている。
[笠井芳夫]
岩石が風化,流水,転落などの自然作用によって砕かれ,角ばりがとれた状態になったもの,またはその集合体のこと。ふつう粒の大きさが5~60mm程度のものをいうが,それ以上で約300mm以下の大型のものを玉石(たまいし)cobbleと呼び,これも砂利に含めることがある。これらに対して岩石を人工的に破砕・整粒した人工の砂利,すなわち砕石(さいせき)があるが,ふつう砂利といえば天然のもののみを指す。しかし分類上の明確を期するために天然産のものを天然砂利,砕石を人工砂利とする。また,天然砂利と天然産の砂とを総称して砂利ということもある。
砂利は,その集合体として堆積している場所によって呼名が変わる。堆積場所が海であれば海砂利,河川であれば川砂利(または河川砂利),旧河川すなわち現在の河川の周辺で,すでに平地化した部分(旧河川敷)であれば陸(おか)砂利,堆積地が隆起または浸食によって取り残され,山地状または段丘となった部分のものを山砂利という。川砂利は他の砂利にくらべると最も球形に近く,上流域よりも下流域のほうが粒径の小さいものが多い。陸砂利も粒形的には川砂利とほぼ同じであるが,泥分の混入があるので,良質な砂利とするには洗浄を行わねばならない。山砂利は川および陸砂利にくらべると自然による淘汰の作用量が少ないために,球形率は一般に悪く,堅硬質のものが少なく,かつ泥分の混入する割合も高い。海砂利は概して細粒であり,砂利よりもむしろ砂として利用されることのほうが多い。
砂利の用途は,セメントコンクリートや道路舗装用の粗骨材(玉石を人工的に破砕・整粒した玉砕(たまさい)も用いられる)が主である。また粗骨材としての砂利は,泥分や粘土鉱物分,塩分,非晶質のシリカ分,その他の有機物の付着および含有がなく,低吸水率,堅硬で球形率が高いものが良質とされ,粒度も単一でなく,ある粒度幅の範囲に分布していることも必要条件の一つとされている。
→骨材 →砂利採取業 →砂
執筆者:岩崎 孝
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…江戸時代の法廷。狭義には法廷内の砂利を敷き詰めた庭を指す。出廷者の座席は身分によって異なり,狭義の白洲(砂利ともいう)にむしろを敷いて露座するのは百姓,町人や浪人等である。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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