日本大百科全書(ニッポニカ) 「葉ふるい病」の意味・わかりやすい解説
葉ふるい病
はふるいびょう
針葉樹の葉に発生する病気で、病気にかかると葉をふるい落としたように激しく落葉するので、この名がある。アカマツ、クロマツ、ゴヨウマツ、トドマツ、エゾマツ、トウヒなど、いろいろな樹種が被害を受け、病原菌の種類も多いが、発生が多いのは、アカマツ、クロマツなどのマツ類である。マツ葉ふるい病は子嚢(しのう)菌類ロホデルミウムLophodermiumに属する数種の菌の寄生によるもので、3月ごろから落葉し始め、発生がひどいときには5月になると前年までの葉はほとんど落ちてしまう。落ちた葉には、ところどころに暗褐色の横線がみられ、また黒色で楕円(だえん)形をした脂(やに)状の塊が散生する。この黒色の塊は病原菌の子嚢果で、これから子嚢胞子が飛散し伝染源になる。マツの木が衰弱した場合に発生しやすい。落ち葉は集めて焼却するとよい。
[梶原敏宏]