改訂新版 世界大百科事典 「蔵人所斤」の意味・わかりやすい解説
蔵人所斤 (くろうどどころきん)
鎌倉時代に用いられた重さを計る単位の一つ。律令制では唐制にならい,キビ100粒の重さを1銖と規定し,24銖を1両,16両を1斤(小斤)とし,さらに3両を大両1両とする大斤を定め,金,銀,穀などを計る場合に大斤を用い,他は小斤を用いることとした。この衡制は時代が経過するとともにみだれ,地域により,あるいは領主により,基準の異なるはかりを用いるようになった。東大寺内においてさえ呉斤,国斤,本斤などの異なったはかりが使用されているが,これらは何を基準としているか不明である。蔵人所斤もその一種であり,1280年(弘安3)ころ,東大寺が寺領美濃国茜部庄から年貢として納入する絹の重さを計る際に使用している。その関係史料により,寺家納所の蔵人所斤の基準は,銭12文の重さをもって1両と定め,さらに1両を4分にわけていたことが知られる。
執筆者:小泉 宜右
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