蕩然(読み)トウゼン

デジタル大辞泉 「蕩然」の意味・読み・例文・類語

とう‐ぜん〔タウ‐〕【×蕩然】

[ト・タル][文][形動タリ]
ひろびろとしているさま。
立春の夕、地も天も―として融けんとす」〈蘆花自然と人生
流されたようにあとかたもないさま。
「先に与えたる千金財本は―跡なく」〈永峰秀樹訳・暴夜物語〉
心が自由であるさま。思うままにふるまうさま。
「彼既に心骨―として悠悠款語」〈東海散士佳人之奇遇

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精選版 日本国語大辞典 「蕩然」の意味・読み・例文・類語

とう‐ぜんタウ‥【蕩然】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用タリ 〙
  2. ひろびろとして何もないさま。広大なさま。
    1. [初出の実例]「芳猷雖遠、遺列蕩然。時年若干」(出典懐風藻(751)石上乙麻呂伝)
  3. 少しも残らないさま。あとかたもなく、なくなるさま。
    1. [初出の実例]「万戸蕩然無孑遺、黄童白叟仰天哭」(出典:星巖集‐丁集(1841)玉池生集三・苦霖行)
  4. ほしいままなさま。なすがままであるさま。また、しまりのないさま。
    1. [初出の実例]「懦弱の人は、其心蕩然として帰するところなく」(出典:西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉一一)
    2. [その他の文献]〔史記‐魯仲連伝〕

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