薗部保(読み)そのべほ

日本歴史地名大系 「薗部保」の解説

薗部保
そのべほ

現栃木市薗部町を中心とした一帯に比定される。平安時代、下野国内に設定された奈良東大寺の封戸二五〇戸のうち、都賀つが郡内には五〇戸あった(天暦四年一一月二〇日「東大寺封戸庄園并寺用雑物目録」東南院文書)東大寺はこの封戸に代えて便補保の設定を強く国司に働きかけ、その結果、応保二年(一一六二)三月七日「可早以薗部郷東大寺御封便補保事」との下野国司庁宣(同文書)が出され、同年六月一日それを受けて、「園部郷司并住民等」に同郷を「東大寺御封便補保」とするという下野国留守所下文(東大寺文書)が出された。ここに知行国主後白河院の容認のもと薗部保が立保された。

薗部保の土台となった薗部郷は「和名抄」には記載されないが、「和名抄」段階の郷の分解過程から一二世紀半ば頃までに郷司ならびに住民が存在するほど明確な領域体をなす郷として成立してきたのである。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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