大学事典 「薬学部」の解説
薬学部
やくがくぶ
日本の薬学部は6年制の薬学科と4年制の薬科学科からなる。2006(平成18)年度の6年制課程の設置は医療技術の高度化,医薬分業の進展に対応するためである。2017年現在,国公立大学17校,私立大学56校に6年制課程がある。6年制課程においては薬剤師職能教育を充実させるため長期の病院薬局実務実習が導入され,臨床現場で役に立つ実践的な薬学の能力を培うことが目的とされている。6年制課程を修了した学生は,厚生労働省が実施する薬剤師国家試験の受験資格が与えられる。ただし経過措置として,2017年度入学者までは4年制課程の修了者にも一定の追加要件を課した上で受験資格が与えられた。4年制課程は基礎薬学(物理,化学,生物学等の基礎科学に近い薬学領域)や創薬科学(新薬創出につながる学際的な領域)等の教育・研究を実施することを目的とする。6年制課程の修了者には,4年制の博士課程への進学が想定されている。6年制課程の導入と時期をあわせて多数の薬学部が新設されるなど,近年の薬学部の入試動向には大きな変化が見られる。卒業生の進路は多様で,進学のほか,薬局,病院,製薬企業(研究・開発,医薬情報担当など),医薬品販売業(ドラッグストアなど),行政機関(国,地方)などが主たる就職先である。
著者: 小野俊介
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報