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医薬分業 いやくぶんぎょう

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

医薬分業
いやくぶんぎょう

患者が薬を必要とするとき,医師は処方箋を交付するのみで,直接に薬を売るのを禁じる制度。医師が自分の手元にある薬だけを使ったり,薬を多く使って収入をあげたりする弊害を防ぐのが目的。医薬の開発の早かったアラビア,次いで欧米,中国などはいずれも古来医薬は分業で,医薬同業のうえに築かれた医療制度は日本の特質の一つといってよい。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵2015の解説

医薬分業

医師・歯科医師薬剤師の医療上の仕事をきちんと分けること。医師は患者を診察し、薬が必要な時は処方せんを書く。薬剤師は患者が薬局に出した処方せんに基づいて調剤する。分業は、医師による毒殺を恐れた欧州の王族が13世紀に、医師の力を減らすために始めたとされるが、すぐに世界中に広がった。日本では米国の指導で、1955年から原則として分業になったが、「患者が希望する場合は医師が薬を出してもよい」との例外規定が作られ、以後、その例外がほとんど主流となっていた。薬価の差益が医師や病院に入るために乱用しがちになり、薬価差益問題から日本も医薬分業すべきとの声が高まった。

(田辺功 朝日新聞記者 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

医薬分業

医師が患者に処方箋を出し、薬局の薬剤師がその処方箋に基づいて調剤する仕組み。医師の処方箋を薬剤師がチェックすることで、安全性や有効性を高めるのが狙い。厚労省は1996年には薬局の独立性を高めるため、調剤薬局を病院内に設置することを省令で禁じた。病院が薬を処方するより調剤薬局が処方した方が報酬が高くなる。結果、調剤薬局が扱う処方の割合は上昇し、2013年度で7割近くに達している。

(2015-05-12 朝日新聞 朝刊 3総合)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
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デジタル大辞泉の解説

いやく‐ぶんぎょう〔‐ブンゲフ〕【医薬分業】

医師は診察して処方箋(せん)を書き、薬剤師はそれによって調剤すること。また、その制度。

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百科事典マイペディアの解説

医薬分業【いやくぶんぎょう】

人の疾病・負傷の治療行為のうち,診断,処理および薬剤の処方を医師または歯科医師に,薬剤の調剤および投与を薬剤師に分担させる制度。〈医師法,歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律〉(1951年公布,1956年施行)により実施された。
→関連項目かかりつけ医

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世界大百科事典 第2版の解説

いやくぶんぎょう【医薬分業】

医療の行為のうち,患者を診断し,適切な処方箋を発行することを医師が責任をもって行い,処方箋に基づいて誤りなく医薬品の調製を薬剤師が行い,患者に交付するという医師・薬剤師の責任分担を明確にした制度をいう。ヨーロッパでは,早くから医薬の分化の萌芽があり,6世紀の文献上にすでに〈医師が処方し,ピグメンタリウスpigmentarius(薬剤師の前身と考えられる薬種商)が調剤する〉との記述が認められる。しかし医薬分業の制度がヨーロッパ全域に広がるのには長い年月を要した。

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大辞林 第三版の解説

いやくぶんぎょう【医薬分業】

医師は患者を診察・治療し、処方箋を発行し、薬剤師はそれに基づいて調剤・服薬指導・薬歴管理を行う制度。医薬品の重複投与や、相互作用を防止する目的がある。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

医薬分業
いやくぶんぎょう

医師が外来患者を治療するうえで投薬を必要とする場合、医師が処方箋(しょほうせん)を作成し、薬剤師がその処方箋に基づき調剤し患者に交付するという分業の仕組み。医薬分業を行う意義としては、患者の薬物療法の安全性と有効性の向上を図るとともに、医療費の適正化に寄与することがあげられる。すなわち、薬剤師が医師の処方内容を確認し、医師の処方による投与ミスを防止すること、患者に調剤した薬の効果・副作用・用法などを説明して手渡すことによって、患者が自分の服用薬に関する理解を深めること、薬局で薬歴管理を行うことにより重複投薬や相互作用の有無、残薬などを確認し、薬歴を記入したおくすり手帳の配布によって患者の認識を高めるとともに、薬漬け治療の抑制を図ること、また薬剤師が医師の処方薬と同じ薬効等を有する後発医薬品(ジェネリック薬品)への変更を促すことにより薬剤費を抑制すること、さらに医師の薬剤処方による薬価差益(薬剤の市場実勢価格と薬価基準との差額から生じる利益)を抑えることなどである。その一方、医療機関での受診と薬局での調剤に区分することが患者にとっては二度手間になること、処方箋料等の加算により患者の一部負担が重くなることなどが指摘されている。
 医薬分業の起源は、1240年に神聖ローマ帝国のフリードリヒ2世が毒殺を恐れて、医師が薬室をもつことや薬剤師と共同経営することを禁止し、薬剤や薬局に関して5か条の法令を定めたことによるとされている。その後、ヨーロッパで医薬分業が広まり、現在は多くの先進諸国で医薬分業が一般的な仕組みとなっている。
 日本では、1874年(明治7)に制定された「医制」(医療制度や衛生行政などに関する諸規定を定めたもの)で、調剤を薬舗(やくほ)主のものとし、医師には調剤権がなく処方書を付与するものとされたが、薬舗数の不足等からまもなくその規定が解除された。1889年に「薬律」が制定され、薬剤師の名称が初めて用いられるとともに、薬事に関する総合的な法制度が設けられた。そこでは医師の処方により薬剤師が調剤し販売することが定められたが、附則で医師が自分の患者に対して調剤し販売することを認めるとしたため、医師による薬剤交付が一般的となった。第二次世界大戦後、1949年(昭和24)に日本薬剤師会の働きかけを受けたGHQ(連合国軍総司令部)の招きで来日したアメリカ薬剤師協会使節団が日本の状況を視察し、医薬分業の早期実現を求める報告書を提出した。それを契機に日本薬剤師会と日本医師会の間で医薬分業をめぐる論争が行われ、1951年に1955年から施行するとした医薬分業法が成立した。しかし、その実施を前に医師の調剤権を認めた医薬分業法の一部改正が行われ、1956年公布・施行を経て、現在に至っている。
 1970年代になって薬剤費比率(医療費に占める薬剤費の割合)の上昇と薬価差の拡大等を背景に医薬分業を求める声が高まり、1974年の診療報酬改定で処方箋料が6点(60円)から10点、さらに50点に引き上げられ、医薬分業の推進が図られた。それに伴い1970年に0.5%であった医薬分業率(医師の外来処方箋枚数に対する薬局の受取枚数の割合)が、1975年に1.2%、1980年に4.8%、1990年(平成2)に11.3%、2000年に39.5%、2004年には53.8%へと加速的に上昇した。その後やや増加率が低下したものの増加が続き、2014年は68.7%となっている。
 このような状況を背景に、2010年代になってからいわゆる「門前薬局」(近接する特定の病院の処方箋をおもに扱う調剤薬局)の拡大が患者ニーズに対応した医薬分業にはなっていないとする批判が強まってきた。調剤処方は院内処方の場合に比べて高く設定されているのに、門前薬局では医師の処方内容を十分にチェックせずに処方して患者に渡すケースがみられ、患者は上記のような医薬分業のメリットを受けていない場合が多いからである。そうしたなかで2016年の診療報酬改定において、地域包括ケアシステムの構築を進めるうえで「かかりつけ薬局」(患者の服薬状況を一元的に管理する調剤薬局。患者は自由に薬局を選択することができる)の果たす役割を明確化し、患者本位の医薬分業の実現に取り組むとする方向性が示され、薬局全体の改革を図る動きが強まっている。[土田武史]
『小坂富美子著『医薬分業の時代』(1997・勁草書房) ▽天野宏著『昭和期における医薬分業の研究』(2007・ブレーン出版) ▽長嶺幸子編著『社会薬学への招待』(2008・法律文化社) ▽日本薬学会編『薬学と社会』第3版(2010・東京化学同人) ▽秋葉保次・中村健・西川隆・渡辺徹編『医薬分業の歴史』(2012・薬事日報社)』

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世界大百科事典内の医薬分業の言及

【処方箋】より

…医師は,みずから診察しないで処方せんを交付してはならない(医師法20条)。また,医薬分業の原則のもと,医師は,患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には,患者または現にその看護に当たっている者に対して処方せんを交付しなければならず(22条),薬剤師は医師等の処方せんによらなければ,販売または授与の目的で調剤してはならない(薬剤師法23条)と規定されている。しかしながら,医師みずからが調剤しうる例外的な場合を多数列挙する医師法22条但書によって,法律上,処方せんの不交付が可能となっており,実際上,処方せんが交付されることは非常に少ない。…

【薬学】より

…医薬未分化の時代に,調剤医師と後世の薬史学者に呼ばれた,〈診断〉もすれば調剤も行ったギリシア・ローマ時代の医師は,やがて治療上必要な〈薬の調製〉という手仕事を,医薬原料である生薬類を扱っていた薬種商(ピグメンタリウスpigmentarius)にゆだねる風潮が起こってきた。6世紀の職業に関する著作に〈医師が処方しピグメンタリウスが調剤する〉という記載があるが,それはヨーロッパの一部のことで,広い範囲で医薬分業が行われたのは13世紀であるといわれている。 ローマ帝国が崩壊した後,ギリシア・ローマの古典医学の著作はキリスト教会に避難場所を求めた。…

【薬剤師】より

… 薬剤師の起源はギリシア・ローマ時代の薬種商(ピグメンタリウス)だと考えられるが,その発展の歴史については〈薬学〉の項を参照されたい。 日本では1874年(明治7),維新政府が制定した〈医制〉により,開業医師と開業薬局(当時は薬舗といわれた)をもとにした医薬分業による新しい医療体制がとられることとなったが,明治以前の日本の医療の主流であった漢方医学においては,医薬不可分が原則であり,薬種商は医家に薬種を供給する商業的行為が主体で,西洋医薬品を調製,管理する能力をもちえず,新医制に従った薬剤師(薬舗主)の資格を得るものが少なかったために,特例として,医師に調剤および薬の販売を許したことから,医薬分業が不徹底におわり,この傾向は今日にも及んでいる。しかし,医薬は日進月歩であり,医薬品の化合物としての性質はますます複雑化し,種類も多岐にわたっているので,医薬品の製造,管理に責任をもつ薬剤師の務めはますます重くなると同時に,〈薬学〉の項に記載したように,薬局が地域医療の場と規定され,医療法に薬剤師が医療に従事する職能として明記されるなど,医療面,ことに投薬管理の面での薬剤師の働きが重要視され,患者を中心とした医療を担う医療技術者としての責任が強調されるようになった。…

※「医薬分業」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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