薬師堂石仏(読み)やくしどうせきぶつ

国指定史跡ガイド 「薬師堂石仏」の解説

やくしどうせきぶつ【薬師堂石仏】


福島県南相馬市にある平安時代のものと伝わる磨崖仏(まがいぶつ)。指定名称は「薬師堂石仏 附阿彌陀堂石仏(つけたりあみだどうせきぶつ)」。薬師堂石仏は、南相馬市小高区(旧小高町)南部の泉沢薬師前に位置する丘の中腹砂岩でできた岩窟の中にあり、阿弥陀堂石仏はその東隣にある。一般には、北約100mの山腹にある観音堂石仏とあわせて「大悲山の石仏」と呼ばれている。また、大悲山の石仏は、大分県の臼杵(うすき)磨崖仏、栃木県の大谷(おおや)磨崖仏とあわせて、日本三大磨崖仏といわれる。薬師堂石仏は凝灰質砂岩を刳()り抜いた間口15m、高さ5.5mの空間に4体の如来像、2体の菩薩像が半肉彫りで造形され、さらに線刻で菩薩像と飛天が描かれている。阿弥陀堂石仏は剝落が激しく、原形をほとんどとどめていないが、阿弥陀仏が刻まれていたと伝えられている。平安期の作らしいということ以外、くわしいことはほとんどわかっていない。1930年(昭和5)に国の史跡に指定された。JR常磐線桃内駅から徒歩約20分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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