薬師通(読み)たこやくしどおり

日本歴史地名大系 「薬師通」の解説

薬師通
たこやくしどおり

平安京が開設時に開かれた東西の小路である四条坊門小路しじようぼうもんこうじにほぼ該当し、六角ろつかく通の南に位置する。「坊目誌」は、「文明年中以来荒廃し。天正年中再開する所なり」と記す。「京雀」によれば、東は「寺町行あたり」で、「西は大宮通也その西は田畠なり」とあるように、江戸時代には寺町てらまち通から大宮おおみや通の間の東西路となっていた。宝暦一二年(一七六二)刊「京町鑑」も「此通寺町より大宮西入所まで」としている。

通り名の由来を「京雀」は「寺町行あたりに蛸薬師の堂あるゆへに世にたこやくし通といふ」とする。四条坊門小路から蛸薬師通に呼称が変わった時期は不詳だが、蛸薬師(永福寺)が室町二条下ルの地から当地に移転するのは天正一九年(一五九一)豊臣秀吉の寺町形成時と考えられるから、それ以後の呼称であろう。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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