藤岡藤十郎(読み)ふじおか・とうじゅうろう

朝日日本歴史人物事典 「藤岡藤十郎」の解説

藤岡藤十郎

没年安政4.5.13(1857.6.4)
生年:生年不詳
安政2(1855)年3月6日野州無宿富蔵と共謀,江戸城本丸の御金蔵に忍び込み小判4000両を奪った人物。同4年2月26日に逮捕され5月13日に千住小塚原で磔刑に処せられた。この事件は黒船渡来後の政情不安定,安政3年の大地震などと相まって一大センセーションとなり,河竹黙阿弥は早くも同6年「花街模様薊色縫(十六夜清心)」で扱ったが,幕府をはばかって実名を使えず暗示するにとどまった。明治18(1885)年,再びこの事件を取り上げ,柳葉亭繁彦 の小説『千代田城噂白浪』に拠り実名で『四千両小判梅葉』を書いた。大地震に乗じた材木の買い付けで儲けたと称し,藤十郎が貸付所を経営する様子などが活写されている。

(上村以和於)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「藤岡藤十郎」の解説

藤岡藤十郎 ふじおか-とうじゅうろう

?-1857 幕末盗賊
安政2年富蔵とともに江戸城本丸の金蔵から小判4000両をぬすみだす。2年後に捕らえられ,市中引き回しのうえ,安政4年5月13日千住で処刑された。この事件は柳葉亭繁彦の小説「千代田城噂白浪」,河竹黙阿弥(もくあみ)の歌舞伎狂言「四千両小判梅葉(しせんりょうこばんのうめのは)」にとりあげられた。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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