改訂新版 世界大百科事典 「蛇紋岩植物」の意味・わかりやすい解説
蛇紋岩植物 (じゃもんがんしょくぶつ)
serpentine plant
蛇紋岩の化学的・物理的特性を反映し,蛇紋岩地帯には特殊な植物が生育することが知られているが,蛇紋岩地帯に限って生育する植物が蛇紋岩植物である。ここでいう蛇紋岩とは,変質した超塩基性岩のほか,カンラン岩などの超塩基性岩そのものも含めた広義のものをさす。日本の代表的な蛇紋岩地帯は,北海道の夕張岳,アポイ岳,岩手県の早池峰(はやちね)山,群馬県の至仏山,兵庫県の関宮,高知県の円行寺,愛媛県の東赤石山などである。ユウバリソウやエゾノクモマグサは夕張岳に,アポイカンバやヒダカソウはアポイ岳に,ナンブトラノオやハヤチネウスユキソウは早池峰山に,それぞれ固有の蛇紋岩植物であり,カトウハコベは夕張岳,早池峰山,至仏山に,ナンブイヌナズナは夕張岳および早池峰山に,ホソバトウキは夕張岳とアポイ岳に不連続に分布する蛇紋岩植物である。
執筆者:清水 建美
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報