日本歴史地名大系 「蝦夷地澗絵図」の解説
蝦夷地澗絵図
えぞちふなまえず
九二×一一五センチ 木版色刷 文化年間頃 北海道大学附属図書館蔵
解説 一九世紀初頭頃江戸で刊行されたと思われる実用蝦夷地図。蝦夷島における湊の良好度を上澗・中澗・下澗にランク付けし、それぞれの湊へ至る方位と里数を示している。当図における蝦夷島はややつぶれたような形をしているが、原型が加藤肩吾の松前地図と同系統であることはカラフト島の形をみれば明らかである。ただ加藤図では豆粒のように示されていたハボマイ諸島とシコタン島はすでに明確に描かれている。この地図の下方には林子平「三国通覧図説」中の「蝦夷国図説」からの抜粋と二枚のアイヌ絵をのせており、恐らくこれは幕府直轄地となった蝦夷地への関心にこたえて上梓されたものであろう。まだ陸路の里程表はないが、実用蝦夷地図の成立過程を示しているように思われる。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報