日本大百科全書(ニッポニカ) 「血液代用薬」の意味・わかりやすい解説
血液代用薬
けつえきだいようやく
血液の血漿(けっしょう)成分にかわりうる輸液のことで、血液の液体成分(血漿)のうち水、電解質そして粘稠(ねんちゅう)度を保持する。外傷や火傷(やけど)、大出血や手術時の失血などでは輸血が不可欠な処置であるが、輸血には血液型、感染、保存など種々の困難な問題があるところから血液代用薬が用いられる。生理食塩液、5%ブドウ糖注射液は体液とほぼ等しい浸透圧(等張)で主として水分の補給に用いられる。電解質および水の補給にはリンゲル液、乳酸加リンゲル液、これに糖を加えたもの、さらに各種の複合電解質輸液が市販されている。また電解質の補正のために添加される補正用電解質注射液もこれに属する。血液の粘稠度を保つためには血漿増量剤(プラスマエキスパンダー)が用いられるが、これは膠質(こうしつ)輸液ともいい、デキストラン40および70、6HES(ヒドロキシエチルデンプン)の注射剤が有名である。乾燥人血漿、プラスマネート、血液分画製剤は保存血を含めて血液製剤として別に分類されている。
[幸保文治]