リンガー液ともいう。イギリスの生理学者リンガーSydney Ringer(1835-1910)が,1882年カエルの摘出心臓の灌流実験のために処方した最初の生理的塩類溶液。彼は,カエルの心臓を血液の代りに生理食塩水で灌流するとき,食塩だけではすぐ拍動が止まってしまい不十分であるが,これに塩化カルシウムと塩化カリウムを加えると長く活動を続けることを発見した。この液は,1000ml中に塩化ナトリウム8.6g,塩化カルシウム0.3gおよび塩化カリウム0.33gを含み,単独にあれば毒作用を呈するはずのナトリウム,カルシウム,カリウムの陽イオンが互いに打ち消し合って平衡を保っている。血漿と同様なイオン組成,浸透圧,pH(7.2~7.3)をもち,浸漬液や灌流液などとして生理学的実験に広く用いられている。現在では,pHを適度に保つために炭酸水素ナトリウムやエネルギー源としての少量のブドウ糖を加えた,リンガー自身の処方を多少変更したものを用いることが多い。
執筆者:上野 晃一+北川 晴雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…動物実験では,ケリカーRudolph A.von Kölliker(1817‐1905)がカエルの筋肉について,蒸留水中では速やかに死ぬが,0.5~1.0%食塩液中では長く興奮性を保つことを見いだしてから,広く動物実験での体液の代用として用いられるようになった。細胞媒体としていっそう好適になるようにしたものが,生理塩類溶液といわれるリンゲル液やロック液などである。変温動物用には,1000ml中食塩6gを含有する0.6%生理食塩水を用いる。…
※「リンゲル液」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新