出血によって多量の血液が失われることで、急性と慢性がある。急性失血は外傷、出血性潰瘍(かいよう)、動脈瘤(りゅう)破裂、食道静脈瘤破裂などでおこる。成人では500ミリリットル以下の失血は輸血せずに回復できるが、循環血液量(5~6リットル)の約3分の1が失われると血圧が低下して出血性ショックに陥り、生命の危険がある。この場合は、迅速な輸血、止血、その他の処置によって回復する可能性があるが、2分の1以上失われると心停止をきたす。潰瘍、痔疾(じしつ)、血友病性出血、婦人科疾患、腫瘍(しゅよう)などのように緩徐で慢性の失血では、血圧低下などの血液循環の変動はなく、赤血球や血色素の減少を示す鉄欠乏性貧血の病態を呈する。
[荒木京二郎]
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