日本大百科全書(ニッポニカ) 「行動観察法」の意味・わかりやすい解説
行動観察法
こうどうかんさつほう
behavior observational method
実験と並んで、行動の観察は心理学の科学的活動として重要で、種々な方法が考案されており、これを総称する。実験は研究対象の行動を一定の条件下に制限するが、観察はそのような拘束は与えない。観察は実験を前提としないが、実験は観察を含んでいる。たとえば幼児の遊びの場面で、あらかじめ一定の玩具(がんぐ)を意図的に置いて行動を観察するのは実験的観察といい、自然の遊びの行動を観察するのは自然的観察という。自然的観察にも一定の時刻・場所を選んでとくに観察する場合、時間見本法、場面選択法などという。特定の行動面を限定して頻度・持続時間・速度などを測定し、ときには一定の基準で評定する場合には範疇(はんちゅう)的観察記録、これに対して自由に行動を観察する場合には逸話的観察記録ともいう。観察の公共性については、観察者の訓練、数人の観察報告の一致が問題であり、観察の補助手段として、観察者の存在の影響を避けるため一方向視面one way screenを用いるとか、観察の再現のためにビデオ、映画などが利用される。
[小川 隆]