日本大百科全書(ニッポニカ) 「表成谷」の意味・わかりやすい解説
表成谷
ひょうせいこく
基盤岩石の構造と無関係に堆積(たいせき)面や侵食平坦(へいたん)面の最大傾斜方向に必従谷として生じた河谷。積載谷ともいう。基盤岩が厚い被覆層に覆われたり、準平原化作用によって完全に平坦化されてしまうと、その上を流れる川は地質構造と無関係に地表面の傾斜に従って流れる。川がそのままの流路を維持して下刻(かこく)を続けると、被覆層が削剥(さくはく)されたのちも流路の位置を変えず、下位にある基盤の地質構造に順応せず、基盤岩の侵食に強い部分を切るような河谷を生じる。硬岩部を切る所では峡谷をなし、先行谷と同じ横谷であるために、その成因をめぐって論議が多い。表成谷であると同時に先行谷という場合もある。表成谷をつくる川が表成川である。
[髙山茂美]