改訂新版 世界大百科事典 「複合ターミナル」の意味・わかりやすい解説
複合ターミナル (ふくごうターミナル)
貨物の協同一貫輸送のため,一つのターミナルに異なった種類の輸送機関のターミナル機能を一体化させたもの。貨物輸送においては,海上輸送と陸上輸送の結節点として港湾が,航空輸送と陸上輸送の結節点として空港があり,これらは異種の輸送機関を結ぶ結節点として機能している。また鉄道の貨物駅,トラック・ターミナルのように陸上輸送相互の連絡をする役割をもつターミナルもある。これらのターミナルの機能はさまざまであるが,いずれにも共通することは,輸送手段特性に応じて,本線輸送と端末輸送を結合する機能を果たしていることである。しかし,これらは多くの場合,一つの交通手段による輸送を完結するためのものである。一方,複合ターミナルとは,港湾や空港に貨物駅やトラック・ターミナルを配置することもないわけではないが,多くの場合,大都市において鉄道ターミナルとトラック・ターミナルが一体となって複合的に機能するターミナルをいう。このような複合ターミナルは,鉄道のもつ機能とトラックのもつ機能をそれぞれの長所に応じて利用できるようにする目的をもつものであり,合理的な物的流通システムの確立をねらっている。理想的な複合ターミナルは実際にはまだ存在しておらず,協同一貫輸送のいっそうの進展をまたなければならない。
執筆者:岡田 清
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報