改訂新版 世界大百科事典 「協同一貫輸送」の意味・わかりやすい解説
協同一貫輸送 (きょうどういっかんゆそう)
co-ordinated transport
一定の大きさにまとめた貨物を,複数の交通機関が互いに協同して,発地から着地まで,荷姿を変更することなしに輸送する輸送方式。貨物を一定の大きさにまとめることをユニット化と呼び,ユニット化のための手段はコンテナーやパレットである。また発地の荷主(発荷主)の戸口から着地の荷主(着荷主)の戸口まで一貫して輸送することは〈ドア・ツー・ドア〉の輸送と呼ばれる。このように協同一貫輸送は,(1)複数の交通機関が協同すること,(2)貨物をユニット化すること,(3)ドア・ツー・ドアの輸送をすることという三つの特色をそなえた輸送方式である。船舶,鉄道,自動車,航空機の四つの交通手段を上手に組み合わせて利用することによって輸送費や時間が節約になり,輸送の効率化が可能になることが協同一貫輸送の最大の特色である。そのためには,どのような交通手段でも利用できるような工夫が必要であり,このような工夫はユニット・ロード・システムと呼ばれる。このシステムをたくみに活用できれば,ランド・ブリッジland bridge方式というような輸送方式も可能になる。ランド・ブリッジ方式とは,たとえば太平洋を海上輸送で,そしてアメリカ大陸を鉄道で横断し,さらに大西洋を海上輸送でというぐあいに,日本とヨーロッパ間を輸送する方式である。このように複数の交通手段を利用する仕方には,海陸一貫輸送,空陸一貫輸送などさまざまな方法が考えられる。国内輸送においても単に鉄道輸送だけ,あるいはトラック輸送だけを利用するのではなく,国鉄(現JR)のコンテナー専用特別急行列車〈フレート・ライナー〉とトラック輸送の協同一貫輸送が可能になった。こうして物的流通は協同一貫輸送によって近代化・合理化の方向に向かっている。
執筆者:岡田 清
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報