覆下栽培(読み)おおいしたさいばい

改訂新版 世界大百科事典 「覆下栽培」の意味・わかりやすい解説

覆下栽培 (おおいしたさいばい)

作物を防寒や遮光の目的で覆いをし,その下で行う栽培方法。

防寒のためにうねの北側によしずの片屋根をかけて,カブダイコンなどの越冬栽培を行うことをいい,関東地方で古くから行われている。カブやダイコンは気温が零下数℃に低下して細胞が凍結しても,短時間ならば障害を受けないので,露地でも越冬栽培ができるが,よしずの片屋根で防寒したほうが生長が速く,収穫物の品質もよい。しかし,近年プラスチックフィルムの普及につれ,覆下栽培に代わり,トンネルを利用したトンネル栽培が増えている。

玉露や碾茶(ひきちや)の栽培では,春に新葉が展開した直後から約20日間,遮光を目的として,よしず,わら,こもなどで茶園を被覆するが,これを覆下栽培という。遮光によって,茶のうま味の成分テアニンが増え,渋味の成分カテキンが減り,特有の香りがでてくる。なお,この栽培方法によって生産された茶は〈覆下茶〉と呼ばれる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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