日本大百科全書(ニッポニカ) 「観世水文」の意味・わかりやすい解説 観世水文かんぜみずもん 能楽の観世家が自家の定式(じょうしき)模様として使用している様式化された水文である。この模様は、幾何学的な楕円(だえん)形の渦巻を自然の水の渦に見立てたものとも考えられる。こういった幾何学的性格は、元来この模様が型を使って表現されたため生じたものと考えられる。1枚の型を自由に操りつつ、見る者に型の使用を意識させないで、かえって自然の水らしい印象を与える。こうした様式化と写生のほどよい調和に、この模様の魅力の源がある。この模様は江戸時代から今日に至るまで、染、織、摺箔(すりはく)など多くの分野で愛用されている。[村元雄] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例