角掛村(読み)つのかけむら

日本歴史地名大系 「角掛村」の解説

角掛村
つのかけむら

[現在地名]江刺市玉里たまさと

次丸つぎまる村の東に位置し、北上高地西縁の低山地と丘陵に立地。中央を人首ひとかべ(角掛)川が西流し、盆地状の平地が開けている。角懸とも書く。人首川沿いに気仙けせん郡・磐井いわい郡へ通じるさかり街道が抜ける。

建武元年(一三三四)八月三日の陸奥国宣(遠野南部文書)によれば、北畠顕家が面懸左衛門尉以下の輩の横領を退け、遠野保を阿曾沼朝綱代朝兼に返付するよう命じている。この面懸は角懸の誤記との説があり、同説に従えば当地名を姓とする角懸氏が遠野を侵略していた。観応元年(一三五〇)八月二〇日の阿曾沼秀親譲状(栃木小山文書)によれば、江刺郡内角懸郷半分地頭職・遠野保地頭職など一二所を阿曾沼氏が領していた。同年から永徳二年(一三八二)間のものと推定される小山氏嫡子所領注文案(同文書)に、小山氏嫡子に譲られた所領中に角懸郷半分地頭職が含まれている。永享九年(一四三七)五月四日の権律師頼意譲状(中尊寺文書)に「金色堂御読経田五段 同郡内継凡沢在之」とみえる。継凡沢は継丸沢と考えられ、当村内次丸沢つぎまるざわに中尊寺金色こんじき堂御読経田があった。戦国期には角懸菊池氏が当地に拠った。「葛西真記録」に「角懸右近 角懸村城主」とみえ、「仙台領古城書上」に「平山羽山城七十五間 四十間 城主角掛右近、山・青笹城二十間 六十間 城主菊池右馬允」とみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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