誘電余効(読み)ゆうでんよこう(その他表記)dielectric aftereffect

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「誘電余効」の意味・わかりやすい解説

誘電余効
ゆうでんよこう
dielectric aftereffect

誘電体電場 E をかけたとき電気分極 P が図のようにが電場の急な変化についてゆけず時間的に遅れる現象。誘電体内部におけるイオンの移動や双極子回転などの運動粘性などのため,電場の速い変化にすばやく応答できないことによる。この遅れのため交流電場においては電束密度に基づく電束電流と電場 (電圧) との間に位相のずれが起り,誘電損失が生じる。

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世界大百科事典(旧版)内の誘電余効の言及

【誘電損失】より

…しかし,固体または液体の誘電体を用いたコンデンサーの場合は,一般に誘電損失が生ずる。これは,誘電体の電気分極が外部電場の変化に追従できず時間的に遅れること(誘電余効)や,電子伝導やイオン伝導による電気伝導,あるいは有極性分子の配向の緩和などによって電束密度が電場に対して位相の遅れをもち,電流と電圧の位相差が90度からずれるためである。 コンデンサーの電流Iと電圧Eとの位相差φと90度との差をδ(これを損失角という)とすると(図),このときに生ずる損失はEItanδとなるが,誘電損失の大きさを表すのにはこのtanδを用いる。…

※「誘電余効」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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