読人不知歌(読み)よみびとしらずのうた

改訂新版 世界大百科事典 「読人不知歌」の意味・わかりやすい解説

読人不知歌 (よみびとしらずのうた)

和歌用語。作者不明の歌ならばすべて〈読人知らず〉といえるわけだが,一般の習慣として《万葉集》の歌では〈作者未詳歌〉と呼び平安時代の歌の場合だと〈読人知らず歌〉と呼んでいる。藤原清輔の《袋草紙(ふくろそうし)》では勅撰和歌集などでのこの語の使用について論じ,作者が実際にわからぬ場合,下賤の者である場合,歌詞に支障ある場合に〈読人知らず〉としてあるというが,勅勘の身であったために作者名が記されなかった平忠度(ただのり)の例もあった。歴史的にみると,作者不明歌は古代になるほど数が多いが,〈読人知らず〉と明記され,しかも量質の両面から最も注目すべきものは《古今和歌集》に収められた約450首の読人知らず歌である。

 それらは《古今集》時代の有力な歌人たちがまだ現れなかった,いわゆる第1期に属する作が多いが,素朴な中にも後の古今調に発達してゆく優美な調べが早くも認められる。
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