古今調(読み)コキンチョウ

デジタル大辞泉 「古今調」の意味・読み・例文・類語

こきん‐ちょう〔‐テウ〕【古今調】

古今集にみられる特徴的な歌のよみぶりや歌の調子。理知的、観念的な内容で、優美・繊細なよみぶりが目立つ。七五調三句切れを主とし、掛け詞縁語などを多用する。

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精選版 日本国語大辞典 「古今調」の意味・読み・例文・類語

こきん‐ちょう‥テウ【古今調】

  1. 〘 名詞 〙 歌論で、「古今集」の特徴的な歌のよみぶりやしらべをいう。万葉調新古今調に対し、写実から象徴に至る両者の中間的位置にある。優美繊細で理知的な詠風で、三句切れ、縁語、掛詞、見立てなどの修辞技巧、類型的な表現婉曲描写などが目立つ。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「古今調」の意味・わかりやすい解説

古今調
こきんちょう

歌論用語。『古今和歌集』の特徴的な詠風,律調,表現などをいう。写生的で素朴な力強さにあふれた万葉調,象徴的で情緒的な気分が漂う新古今調に対して,技巧的で繊細,優美な様式を示している。五七調から七五調に移り,動詞よりも名詞が多くなり,懸詞 (かけことば) や縁語が多用され,見立てや擬人法が摂取され,枕詞序詞も発達し,歌枕や歌語も進展して,発想と表現との調和が志向されている。

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百科事典マイペディア 「古今調」の意味・わかりやすい解説

古今調【こきんちょう】

古今和歌集》の特徴的な歌風,歌いぶりを万葉集の〈万葉調〉〈ますらおぶり〉に対して〈古今調〉〈たおやめぶり〉という。形式的には五・七調から七・五調への移行がみえ,三句切れが多くなる。平明優雅なその歌いぶりは,長く歌壇の主潮流として後代に受け継がれた。
→関連項目新古今調

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「古今調」の解説

古今調
こきんちょう

万葉調・新古今調と並んで和歌史に確立された3大表現様式の一つ。「古今集」的表現。万葉調・新古今調と対立・相違する「古今集」の歌風は,現実の事象から引きおこされる実情・実感をそのまま表さず,生活感情の美的観念化をはかる。したがって感動の対象も直接にいわず,対象に対する詠歌主体の心のあり方を表出する表現態度に特徴がある。具体的には懸詞(かけことば)・縁語の技法や比喩による見立ての工夫などで,言語による多様な表現性を獲得した。

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