謀書(読み)ボウショ

デジタル大辞泉 「謀書」の意味・読み・例文・類語

ぼう‐しょ【謀書】

文書偽造すること。また、その文書。
まゐらせし証状は、―たることも分明なるをや」〈折たく柴の記・下〉

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精選版 日本国語大辞典 「謀書」の意味・読み・例文・類語

ぼう‐しょ【謀書】

  1. 〘 名詞 〙 文書を偽造すること。また、その文書。偽書謀状
    1. [初出の実例]「最勝金剛院執行泰実、依謀書事、被所帯、被却在所了」(出典玉葉和歌集‐承安三年(1173)三月一日)

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普及版 字通 「謀書」の読み・字形・画数・意味

【謀書】ぼうしよ

偽造の文書。

字通「謀」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の謀書の言及

【裏封】より

…このように裏封はある場合には表文書の機能や効力に法的な保証を与えるものであった。しかしたとえば裁判の過程で,一方が他方の提出した証文を謀書(偽造文書)であると申し立てた場合,担当奉行人はその証文の裏を封ずるが,この裏封は表文書が実書であることを認定したものでもなく,また逆に謀書と判定したものでもない。ただその文書に対し謀書申立ての事実があったことを確認し,以後表文書に変改が加えられたり,他の文書とすり替えられることを防止し,裁判の終結後,謀書人もしくは実書を謀書と申し立てた当事者に刑事罰を科するための必要な手続であった。…

【偽文書】より

…偽造された文書,虚偽を記載した文書をいう。
[日本]
 文書の偽造は〈律〉では盗に准ずとされ,《御成敗式目》でも〈謀書(ぼうしよ)〉の罪は侍の場合,所領没収ないし遠流(おんる),凡下(ぼんげ)は火印を面におすこととし,江戸時代も主謀者は引回しの上で獄門,共犯者も死罪と定められていた。しかし偽文書は時代をこえて作成され,現在まで多くの偽文書が伝来している。…

【刑罰】より

…また当代には(恩赦)が乱発されて刑政が弛緩し,とくに仏教思想の影響もあってか,弘仁年間(810‐824),死刑の執行が停止され,以後1156年(保元1)にそれが復活するまで約350年間,死刑の執行が行われなかったことが注目される。【小林 宏】
[日本中世]
 律令法で刑罰の適用に大きな意味をもったのは犯罪者の官位の有無であったが,中世の武家法では身分が重視され,謀書(文書偽造)の罪について,侍は所領没収,凡下(ぼんげ)は火印,また人を殴る罪について,侍は所領没収,郎従以下は召禁(禁錮),また密懐(姦通)の罪について,侍は所領半分没収,名主,百姓は過料(以上,《御成敗式目》および追加法)などと定められた。また,窃盗の罪について,凡下は1回目は火印,3回累(かさ)ねれば死罪とするが,侍は1回でも遠流(おんる)としたごとく,犯罪の性質によっては侍が重刑を科せられたことや,遅くも15世紀には,侍身分に死罪の栄誉刑として切腹が認められたことなど,いずれも侍身分重視の証左である。…

【詐欺】より

…《公事方御定書》(1742制定)では,〈当座のかたり〉(通常の,その場かぎりのもの)は盗罪に準じて贓物(ぞうぶつ)10両以上を死罪,未満を入墨敲(たたき)とし,公儀に対するものや計画的なもの,仲間を誘い共謀して行ったものについては同1両以上を死罪,また常習的なものは贓物の高にかかわらず獄門としている。〈かたり〉の手段として一定の物の偽造・変造やその行使,官職・身分の詐称等をともなうことがあるが,《公事方御定書》には,〈謀書謀判〉(文書偽造,印章偽造)は引回しのうえ獄門,〈似せ金銀〉(通貨偽造)は引回しのうえ磔(はりつけ),〈似せ秤,似せ桝〉は引回しのうえ獄門,〈似せ朱墨〉は家財取上げ所払,〈似せ薬種〉は引回しのうえ死罪,〈似せ役〉(官名等の詐称)は死罪,〈似せ家主,五人組〉をつくって出訴するものは敲(たたき),名を替えて奉公人の請(うけ)に立つものは江戸十里四方追放などとする規定がみえる。そのほか不動産の〈二重質・二重書入(かきいれ)〉は関係者それぞれに中追放等を科し,商品の〈二重売〉は盗罪に準じて代金10両以上を死罪,未満を入墨敲とし,また新規の神事・仏事を行ったり,〈奇怪異説〉を触れて人を集めるものは所払や江戸払等に処し,〈手目(てめ)博奕〉(詐欺賭博)も通常の博奕より重く遠島とされている。…

【手紙】より

…距離・時間を要し面談の不自由な場合は,両者の確認に差出し(発信人),宛名(受取人)を記し,日時の経過(年月日付)も勘案されることになり,本文以外にこの3項が要求される。とくに謀書(ぼうしよ)(偽書),謀判(ぼうはん)のありうる鎌倉時代以降には,発信人の真なることの証明も必要とされ,その人独自の模倣しがたい自署(花押(かおう))が創出される。私信は内容の秘密性により必然的に右筆(ゆうひつ)には任せられず,自筆にならざるをえない。…

※「謀書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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