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折たく柴の記 おりたくしばのき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

折たく柴の記
おりたくしばのき

新井白石の自伝。3巻。享保1 (1716) 年 10月に筆を起し,相当の日数を経てできたものと思われる。上巻で祖父,両親のことや自己のおいたちから甲府侯仕官までの事跡を,中巻で将軍徳川家宣 (いえのぶ) の,下巻で家継治績と政治的事項について記す。内容,文章ともにすぐれ,日本の自伝文学の傑作。

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百科事典マイペディアの解説

折たく柴の記【おりたくしばのき】

新井白石の自叙伝。3巻。享保(きょうほう)年間(1716年―1736年)に成る。祖父母の時代からはじめ,父の生涯,自身の経歴を記し,将軍徳川家宣(いえのぶ)の補佐として幕政に尽力した正徳(しょうとく)の治のことや,家宣を継いだ幼将軍徳川家継(いえつぐ)のもとで側用人(そばようにん)間部詮房(まなべあきふさ)とともに幕府の改善に苦闘したことが叙述される。
→関連項目自伝

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世界大百科事典 第2版の解説

おりたくしばのき【折たく柴の記】

新井白石の自叙伝。3巻。1716年(享保1)幕政中枢から失脚した白石が,6代将軍徳川家宣のあつい信任と恩恵に浴しつつ幕政に尽力した自分の立場を明確に子孫に語り残すことを主目的につづったもの。上巻はまず祖父母にふれ,次に父の生涯を述べて母にも言及した後,自己の経歴を記して家宣将軍世嗣の時代に至る。中巻は家宣将軍時代に白石が諮問や進言を通じて関知した政務を叙述し,下巻は幼将軍家継のもとで側用人間部詮房(まなべあきふさ)とともに行政の改善に苦闘した実状を記し,将軍側近者の立場を弁明して終わる。

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大辞林 第三版の解説

おりたくしばのき【折たく柴の記】

新井白石の自叙伝。三巻。1716年成立。父祖のことから自己の生い立ち・経歴、将軍家宣いえのぶ補佐の事跡、家宣死後の引退までを回顧したもの。平易な和漢混交文で記されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

折たく柴の記
おりたくしばのき

新井白石(あらいはくせき)の自叙伝。書名は後鳥羽(ごとば)天皇の御製(ぎょせい)「おもひ出(いづ)る折たく柴の夕煙(ゆふけむり)むせぶも嬉(うれ)し忘れがたみに」(『新古今和歌集』)からとっている。白石がその子孫に、祖先および自分自身の事績を知らせるとともに、主君の6代徳川将軍家宣(いえのぶ)、7代家継(いえつぐ)の善政をも認識させ、後世にもそれを正しく伝えさせようとの意図のもとに、幕府引退後まもない時期、1716年(享保1)に執筆したもの。現存自筆本(新井家)はその後も増補したものと思われる。3巻からなり、上巻には祖父、父母、白石自身の事績(家宣の将軍世継時代まで)を記し、中巻には自らが側用人(そばようにん)間部詮房(まなべあきふさ)とともに献身的に補佐した6代家宣の政治的業績を、下巻には幼君7代家継時代のそれを記述している。達意でわかりやすく、かつ力強い文章で書かれているため、その優れた内容と相まって明治以後とくに広く読まれ、『福翁(ふくおう)自伝』(福沢諭吉)と並んでわが国自伝文学の代表とみなされるに至っている。本書が明治10年代に刊本が出て広く読まれるようになった結果、白石は第一級の日本人として尊敬されることになるのである。『新井白石全集 第3巻』『日本古典文学大系95』『新井白石集』などに所収。[宮崎道生]
『宮崎道生著『定本折たく柴の記釈義』(1964・至文堂) ▽桑原武夫著『日本の名著1 新井白石』(1969・中央公論社)』

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世界大百科事典内の折たく柴の記の言及

【正徳の治】より

… 実質的な施策は,家宣の治世が3年余であったので件数は乏しいが,12年勘定吟味役を復活したことは,財政・統治機構の整備強化の面で享保改革の前駆をなす。これと関連して,白石の強い糾弾でようやく家宣も認めた勘定方の独裁者荻原重秀の奉行免職は,従来重秀への評価が白石の《折たく柴の記》の記事に影響されてもっぱら重秀の善悪能否の問題に限られており,今後より客観的な評価を必要とするが,ともかくひとつの政策的転機であった。重秀は家宣の将軍就任直後,財政難解決のため通貨改鋳を提案し,白石の反対により拒否されたが,独断で悪鋳を繰り返した。…

※「折たく柴の記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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