議会休会中任命(読み)ぎかいきゅうかいちゅうにんめい(英語表記)recess appointment

知恵蔵 「議会休会中任命」の解説

議会休会中任命

連邦議会の休会中に大統領が議会承認なしで政府高官任命すること。上院の承認を得にくいと予想される時に行われることが多い。2005年3月ブッシュ大統領はジョン・ボルトン国務次官補(軍備担当)を国連大使に指名したが、彼が対北朝鮮強硬派であり、また米国の国益のための国連「改革」を強行すると見られるため、民主党のフィリバスター(filibuster、引きのばし戦術)などにより上院の承認は難航した。議会が夏季休会に入った直後の05年8月1日、ブッシュ大統領はボルトンを国連大使に任命、彼は即日赴任した。この任命は合衆国憲法第2条第2節3項の規定によるもので、上院の承認は不要となる。任期は第2会期の終わりの07年1月までで、2年を超えることはできない。ブッシュ大統領は議会休会中任命を、第1期目に110回(そのうち正規のポストは66回)行っているが、国連大使レベルの高官は初めて。過去にも、レーガン大統領は240回(うち正規ポスト116回)、父ブッシュ大統領は77回(同18回)、クリントン大統領は140回(同95回)、同様の任命を行った。こうした任命は議会の承認をバイパスするために三権分立観点から大統領権限の乱用という主張もある。

(細谷正宏 同志社大学大学院アメリカ研究科教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android