ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「豊島久真男」の意味・わかりやすい解説
豊島久真男
とよしまくまお
腫瘍学・ウイルス学者。 1954年大阪大学医学部卒業,59年同大学院修了。大阪大学教授,東京大学医科学研究所教授,同所長,大阪大学微生物病研究所長,大阪府立成人病センター総長などをつとめる。アメリカ留学中の 69年,ニワトリに癌を起すウイルス,ラウス肉腫ウイルスに細胞を癌化する遺伝子が存在することを,温度によって発癌をコントロールすることで証明,注目された。その後 src (サーク) と名づけられたこの遺伝子は,アメリカのグループによって正常細胞にも存在することが示され,癌遺伝子研究の突破口となった。 83年豊島は山本雅とともに,癌遺伝子 erb (アーブ) Bを発見,それが細胞内で増殖シグナルを受取る蛋白質である可能性を示した。 80年代から 90年代にかけては,日本の癌研究のリーダー役をつとめている。癌遺伝子はもともと細胞の増殖サイクルを司る遺伝子であることが明らかになってきているが,豊島はその先鞭をつけた。 2001年文化勲章受章。
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