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[染色体の異常]
癌細胞には,しばしば染色体の欠失,増幅,転座等が生じていることは古くから観察されているが,近年の遺伝子レベルの癌研究は,これらの染色体異常の発癌における意義を明らかにした。染色体欠失部の研究は,多数の癌抑制遺伝子の発見(後述)を,また,増幅や転座の研究は,多数の癌遺伝子や癌関連遺伝子の発見をもたらした。慢性骨髄性白血病細胞の90%以上に見いだされ,1960年代から有名であったフィラデルフィア染色体は,実は第9番と第22番の染色体相互転座t(9:22)(q34:q11)の産物であり,第9染色体の切断点に存在する原癌遺伝子c‐ABLが第22染色体の切断点に存在するBCR遺伝子と融合して作るBCR‐ABLキメラ産物が強いチロシンキナーゼ作用を有し,細胞癌化の原因となっていることが明らかにされている。…
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[染色体の異常]
癌細胞には,しばしば染色体の欠失,増幅,転座等が生じていることは古くから観察されているが,近年の遺伝子レベルの癌研究は,これらの染色体異常の発癌における意義を明らかにした。染色体欠失部の研究は,多数の癌抑制遺伝子の発見(後述)を,また,増幅や転座の研究は,多数の癌遺伝子や癌関連遺伝子の発見をもたらした。慢性骨髄性白血病細胞の90%以上に見いだされ,1960年代から有名であったフィラデルフィア染色体は,実は第9番と第22番の染色体相互転座t(9:22)(q34:q11)の産物であり,第9染色体の切断点に存在する原癌遺伝子c‐ABLが第22染色体の切断点に存在するBCR遺伝子と融合して作るBCR‐ABLキメラ産物が強いチロシンキナーゼ作用を有し,細胞癌化の原因となっていることが明らかにされている。…
※「癌遺伝子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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