象眼青磁(読み)ぞうがんせいじ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「象眼青磁」の意味・わかりやすい解説

象眼青磁
ぞうがんせいじ

焼物の装飾技法一種青磁の素地の色と異なる土を器表に嵌入して文様,絵を表わし,釉 (うわぐすり) をかけて焼いたもの。朝鮮で創案された技法で,12世紀後半の毅宗時代 (1147~69) から始り,高麗末期まで続いた。文様は鳳凰雲鶴文,蒲柳水禽など朝鮮独自の文様が多く用いられ,ほかにぼたん,菊,れんげなどの草花,双魚,鳥,さぎなどの鳥魚類,なかには文様の間に文字を配した例もある。象眼には白黒のほか金彩を施したり,辰砂 (しんしゃ) を点じたものがみられる。

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世界大百科事典(旧版)内の象眼青磁の言及

【陶磁器】より

…いずれも朝鮮半島の西海岸で,焼造された青磁は貢瓷として開城の都へ運ばれたものと考えられる。 高麗青磁にはこのほか,釉下に白土や黒土を象嵌した象嵌青磁,釉下に鉄で絵付を行って青磁釉をかけた鉄絵青磁,鉄釉を全面にかけて青磁釉をかけた鉄砂釉青磁,金彩を施した画金青磁,辰砂を釉下に施した辰砂青磁などがある。象嵌青磁は中国にもみられない高麗独自の青磁で,緻密で繊細な文様が器面に施され,静けさと幽玄さをたたえたその魅力は高麗陶磁を象徴するものである。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」