豪・インドネシア防衛協定
オーストラリアとインドネシアは2006年11月、安全保障協力に関する枠組み協定を締結した。オーストラリアにとって東南アジアは、テロ、麻薬、海賊などの非伝統的かつトランスナショナルな安全保障上の脅威の源泉となりうる地域であり、同地域との関係維持は戦略的な重要性を持っている。なかでも東南アジア最大の人口と国土を擁するインドネシアとの信頼関係の構築は、オーストラリア外交政策の重要案件の1つである。しかしこれまでは東ティモール問題、インドネシア・パプア州の独立派住民へのビザの発給問題、イスラム過激派組織の指導者の釈放問題などをめぐって、両国間には摩擦が絶えなかった。そうしたなかで、今回の協定締結は将来の両国関係の発展と安定化に大きく寄与することが期待されている。同協定のもとで、両国は軍事協力のほか、テロ対策、海上保安対策、大量破壊兵器の拡散防止、核の平和利用などの分野で協力を深めることになった。なお、1995年末に、両国間で安全保障協定が結ばれたが、99年にオーストラリア軍を中心とする多国籍軍が東ティモールに派遣されたことを機に、それに不満を抱くインドネシアが同協定を破棄している。
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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