賜ばる(読み)タバル

デジタル大辞泉 「賜ばる」の意味・読み・例文・類語

たば・る【賜ばる/給る】

[動ラ四]
「もらう」「受ける」などの意の謙譲語。いただく。頂戴する。たまわる。
「我が君にわけは恋ふらし―・りたる茅花つばなめどいやせに痩す」〈・一四六二〉
神の許しを得て、通らせていただく。
「色深く背なが衣は染めましを御坂―・らばまさやかに見む」〈・四四二四〉

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精選版 日本国語大辞典 「賜ばる」の意味・読み・例文・類語

たば・る【賜・給】

  1. 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙
  2. 物を受ける、もらう意の謙譲語。いただく。頂戴する。たまわる。
    1. [初出の実例]「鷹の子は まろに多波良(タバラ)む」(出典:催馬楽(7C後‐8C)鷹の子)
    2. 「なんぢはいつもくらまへ参るが、福をたばった事はなひか」(出典:虎明本狂言・鞍馬参(室町末‐近世初))
  3. 特に、神から通行の許しをいただく。神の許しを得て通らせていただく。たまわる。
    1. [初出の実例]「色深く背なが衣は染めましを御坂(みさか)多婆良(タバラ)ばまさやかに見む」(出典:万葉集(8C後)二〇・四四二四)
  4. ( 中世以降の用法 ) 物などをくれるの意の尊敬語。下さる。たまわる。
    1. [初出の実例]「Tabatta(タバッタ)〈訳〉 Tabari, u(タバル)の過去形。〈略〉ゴフクヲ tabatta(タバッタ)。すなわち、タカラヲ タマワッタ」(出典:日葡辞書(1603‐04))

賜ばるの語誌

( 1 )タマフに対するタブと同じく、タマハルの縮約形であろう。タマハルより敬意度は低く、目下の者からもらう場合や戯れに用いられた例もある。
( 2 )タマフとタブの場合は尊敬語と謙譲語が四段活用と下二段活用とに分かれるが、タマハルとタバルの場合は同活用に両敬語が併存する。タテマツルなどと同じく謙譲語が尊敬語に転用された結果である。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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