改訂新版 世界大百科事典 「贖罪日」の意味・わかりやすい解説
贖罪日 (しょくざいび)
Day of Atonement
ヘブライ語yom kippurの訳語。ユダヤ教のもっとも厳粛な祭日。ユダヤ暦の正月に当たるティシュレ月10日(太陽暦の9月か10月)に行われる。旧約聖書の《レビ記》16章によると,大祭司は自分自身と祭司家の罪を贖(あがな)うための雄牛を捧げたのち,民衆の罪を贖うためヤギを捧げる。次に,荒野の悪霊アザゼルのために選ばれたヤギに,民衆のすべての罪を背負わせて荒野に送る。このヤギを〈贖罪のヤギ(スケープゴート)〉と呼ぶ。これは,神と交わるために,人間はすべての罪から潔(きよ)められていなければならないという考え方に基づく祭儀である。バビロン捕囚以後,すなわち神殿を失ったのち,ユダヤ教徒は断食と贖罪の祈りによってこの祭日を守るようになった。
執筆者:石田 友雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報