化学辞典 第2版 「赤外センサー」の解説
赤外センサー
セキガイセンサー
infrared sensor
0.8 μm から1 mm の波長,すなわち分子振動として吸収できるエネルギーをもつ赤外線を電気信号に変換することで,赤外線を検知するセンサー.赤外センサーにはさまざまな検出機構が存在し,大きく分けると赤外線を熱にかえ,センサー素子の温度変化を電気信号に変換することで検出する機構と,赤外線のもつエネルギーによる物質の電子構造や電子状態の変化を利用する機構の二つに大別できる.温度による電気伝導度の変化を利用するボロメーター,熱起電力を利用する熱電対,焦電効果を利用する焦電センサーなどは前者に属し,赤外線による光誘起起電力を利用する光起電力セル,赤外線による価電子帯やドナー準位から導電帯への電子励起による電気伝導率変化を利用する光伝導セルは後者に属する.応答速度は後者が圧倒的に速いものの,波長依存性が大きく,どちらを用いるかは使用目的に依存する.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報