超長基線電波干渉法(読み)ちょうちょうきせんでんぱかんしょうほう(その他表記)Very Long Baseline Interferometry; VLBI

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「超長基線電波干渉法」の意味・わかりやすい解説

超長基線電波干渉法
ちょうちょうきせんでんぱかんしょうほう
Very Long Baseline Interferometry; VLBI

天体から送られる電波を利用し,天体の位置や構造,地球上の受信地点間の位置関係を高精度で測定する技術。数十億光年の位置にあるクエーサーの微弱な電波を地球上のいくつかの地点に設置された電波望遠鏡のアンテナで同時に受信し,実際の電波の到達時刻の差 (遅延時間) から受信地点間相互の位置関係を割り出す。 VLBIは 1930年代から 40年代にかけて発達した電波天文学を基礎に生まれ,1967年アメリカ,カナダのグループが実験に成功した。日本では 1986年に国土地理院が VLBIを用いた観測を開始,プレートテクトニクスの検証,世界測地系に基づく日本の位置の把握,地球の自転姿勢に関する情報の収集を行なっている。また,地球上では地球の直径以上の距離を測ることができないため,電波望遠鏡を搭載した人工衛星 (→はるか ) を打ち上げ,地球上の電波望遠鏡と連携し,さらに長い距離をはかるスペース VLBI計画も実施されている。

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世界大百科事典(旧版)内の超長基線電波干渉法の言及

【宇宙測地】より

…(2)月レーザー測距 月面にはアポロ宇宙船によりレーザー反射体が設置されており,人工衛星の場合と同じ原理で地上の観測局の位置を決めることができる(月レーザー測距装置)。(3)超長基線電波干渉法 電波天文学の手段として開発された超長基線電波干渉計の技術もクエーサーや人工衛星が発する電波を用いて地上の基準点間の位置関係を知るために利用されている。電波源としてクエーサーを利用する場合には,電波は十分遠方から飛来するため平行に入射する。…

※「超長基線電波干渉法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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