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電波天文学 でんぱてんもんがく radio astronomy

翻訳|radio astronomy

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

電波天文学
でんぱてんもんがく
radio astronomy

地球外からやってくる電波を研究する天文学の一分野。太陽,惑星,恒星,星間ガス,銀河など宇宙全体からくる波長 1mmから 20mの範囲の電波を電波望遠鏡によって検出する。ほかに,レーダによって流星の飛路,月,惑星などをとらえる技術もある。

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デジタル大辞泉の解説

でんぱ‐てんもんがく【電波天文学】

天体から来る電波を受信して、天体の性質、銀河系や宇宙の構造などを研究する天文学の一分野。

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百科事典マイペディアの解説

電波天文学【でんぱてんもんがく】

宇宙からの電波を受信して天体を研究する天文学の一部門。1931年K.G.ジャンスキーの銀河電波の発見に始まり,第2次大戦後電波望遠鏡の発達とともに急速に発展。太陽電波,月・木星・金星・すい星等の電波,宇宙電波,銀河電波,電波星などが対象。
→関連項目電波望遠鏡

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世界大百科事典 第2版の解説

でんぱてんもんがく【電波天文学 radio astronomy】

宇宙からやってくる電波を受信して天体の性質を調べる学問。宇宙からの電波は,高温プラズマからの電波,分子の回転による電波,中性水素から出される電波,惑星からの電波や宇宙背景放射などに大別される。
[高温プラズマの電波]
 高温ガスからできた星雲などでは,原子が電離して電子が空間をとび回っている。これらの電子が進路をじゃまされると加速によって電波を放射する。放射にはおおまかにいって2種類ある。第1は,熱運動をしている電子がイオンと遭遇する場合で,電子とイオンの電荷の間の力で加速度が発生し電波が放出される。

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大辞林 第三版の解説

でんぱてんもんがく【電波天文学】

天体からの電波を受信して宇宙や天体の性質を研究する学問。1931年にアメリカのジャンスキーが銀河電波を観測したことに始まり、第二次大戦後急速な発展をとげた。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

電波天文学
でんぱてんもんがく
radio astronomy

電波によって天体または宇宙を観測し、研究する天文学の一分野。1931年にジャンスキーKarl Guthe Jansky(1905―1950)によって発見された宇宙からの電波は、その後の観測の発展につれて、宇宙像を大きく塗り替える役割を果たした。それまでの光学観測では見ることができなかった新しい天体や新しい現象が電波望遠鏡によって次々と発見されたからである。可視光では数千度以上の比較的高温の宇宙が見えるのに対し、電波では低温の宇宙が観察できる。この両者の総合によって、宇宙における物質の運動・循環を全体的に把握することが可能になった。
 電波は可視光と同様に、地上に置かれた観測装置によって宇宙を観測することが可能であり、巨大で複雑な電波望遠鏡システムが発達した。現在、電波天文学は、可視光天文学と並んで宇宙研究を支える主柱となっている。
 地上からの電波観測は、波長30メートルから0.3ミリメートルのサブミリ波まで、広い範囲にわたって行われている。これよりも長波長側では、電波は大気上層部の電離層に跳ね返されるため地上からは観測ができず、したがってその波長で宇宙を見ることはできない。一方、1センチメートルよりも短波長のミリ波では、大気中の分子、おもに水蒸気のために吸収が強まる。波長1ミリメートルよりもさらに短波長側の電磁波をサブミリ波とよぶことが多い。地球大気は電波と可視光・短波長の赤外線(近赤外線)以外の電磁波に対しては不透明であり、電波と可視光・近赤外線は、大気に開いた宇宙への二つの窓であるといえる。[海部宣男]

電波天文学の歴史

電波天文学の発達の歴史は、ほぼ電波工学の発達の歴史に重ね合わせてみることができる。アメリカのベル研究所の技師ジャンスキーが宇宙電波を偶然に発見(1931)したのは、電波通信の妨害となる雷の電波を研究しているときのことであった。ジャンスキーと、独学で宇宙電波の観測に努めたリーバーGrote Reber(1911―2002)によって、電波は天の川に沿って強く、かつ長波長ほど強くなるという事実がつきとめられた。これは当時の天文学および物理学の知識からは説明がつかず、1950年代になってから、ギンツブルクらによって、宇宙の高エネルギー粒子(宇宙線)と磁場との作用によるシンクロトロン放射とよばれる現象であることが明らかにされた。
 シンクロトロン放射は、高エネルギー粒子を生み出す宇宙の爆発的現象の存在を物語る。その研究は、超新星爆発、電波銀河、クエーサーといった莫大(ばくだい)なエネルギーの解放過程の発見や解明へとつながっていった。またシンクロトロン放射は一般に長波長ほど強いので、短波長の扱いが技術的に困難であった初期の電波天文学には好適の対象だった。長波長の電波は金網や針金の反射鏡で集光ができたため、精度上の問題が少なく、電波の検出器も長波長では容易である。一方、長波長ほど対象の構造を見分ける能力(分解能)が下がる問題は、ボルトンJohn Gatenby Bolton(1922―1993)やライルによる電波干渉計の発明によって解決に向かった。
 1951年にパーセルとユーインHarold Irving Ewen(1922― )によって水素原子ガス雲からの波長21センチメートルの電波(いわゆる21センチ波)が発見された。これはファン・デ・フルストH. C. van de Hulst(1918―2000)が1944年に予言したものである。宇宙電波として最初の線スペクトルであり、かつ宇宙の基本的構成要素としての水素原子の観測を可能にしたという点で画期的な発見であった。21センチ波の大々的な観測・研究によって、銀河系の渦の大きさ、銀河系外におけるさまざまな銀河やその間の相互作用のようすなど、重要な知見が豊富にもたらされた。
 電波工学、機械工学の発達とともに、観測波長は短いほうへと広がっていった。1960年代には直径数十メートルで精度の高いパラボロイド型電波望遠鏡が数多く建設され、電波による発見の黄金時代となった。電波銀河の発見(1960)、クエーサーの発見(1963)、3K宇宙黒体放射(宇宙背景放射)の発見(1965)、パルサーの発見(1967)、多彩な星間分子の発見(1968~ )などである。ことに星間分子の線スペクトルが波長1センチメートル~1ミリメートルのミリ波領域で多数発見されたことは、電波の最短波長であるミリ波での観測の発展を促した。暗黒星雲や星の外層大気に広く分布する星間分子をその電波スペクトル線で研究することによって、星の形成とその一生、銀河系の構造など多岐にわたる領域での新たな発展が広がっていったからである。
 1980年代に入ると、半導体工学、精密工学、大型コンピュータなど現代の第一線の技術の投入によって、ミリ波観測のための巨大で精密なパラボロイドや干渉計が日本、アメリカ、ヨーロッパで実現し、その成果が競われた。また大型コンピュータの登場によって、電波干渉計は天体の電波画像を高分解能で描き出す電波写真儀(開口合成干渉計とよばれる)へと発展した。開口合成干渉計は、初期にはおもに長波長側で威力を発揮し、遠方の銀河中心核が放出する宇宙ジェット(ジェット状の電波源)など、高エネルギー現象の解明を進めた。その後の技術的な進歩により、短波長のミリ波・サブミリ波でも本格的な開口合成干渉計が活動している。[海部宣男]

電波天文学の現状

電波天文学の研究分野は相互に密接に関与しているが、およそ以下のように大別できよう。
(1)高エネルギー電波天文学 おもにシンクロトロン放射による連続波電波により、宇宙における高エネルギー放出現象を研究する。超新星、パルサー、銀河磁場、銀河中心核と電波銀河、クエーサーおよび宇宙ジェットなどである。ことに宇宙ジェットは、巨大ブラック・ホールから放たれるものと考えられ、きわめて興味深い現象である。
(2)宇宙電波分光学 星間分子や原子の電波スペクトル線により、おもに低温の星雲やその中での星の形成、星の一生、銀河系の構造などを研究する。スペクトル線特有の豊富な情報量によって、ほとんどすべての宇宙現象に関連して多岐にわたる研究分野が開けている。とくに星の形成過程は銀河系および銀河の歴史の解明につながる基本的要素であり、遠方の銀河にまで観測が進められている。望遠鏡の高性能化とともに、ほかの恒星を回る惑星系の形成過程の研究も目覚ましい。
(3)太陽電波天文学 太陽電波はその強度が強く(近いため)、また電波通信への影響などもあって、早くから研究が進んだ。黒点が関与する太陽面爆発(フレア)の機構の解明がその中心課題である。粒子の加速、磁場の働きなど宇宙における高エネルギー現象と共通する部分も多いので、高エネルギー現象の基礎的理解にも重要である。太陽電波観測には専用の観測装置(おもに干渉計方式)が用いられる。日本では野辺山(のべやま)太陽電波観測所(国立天文台)において、第一線の太陽電波干渉計が活動している。
(4)レーダー天文学 大型反射鏡を用いて強力な電波ビームを近くの天体に向けて放射し、反射してくるエコーをとらえて研究する。太陽系内の天体のみが対象で、水星から土星までがこの方法で調べられ、金星の表面地形や自転速度などが測られた。金星の周りを飛ぶロケットを用いたレーダー観測により、さらに詳しい金星の地図がつくられている。
(5)VLBI天文学 地球上各地の大型電波望遠鏡を高性能の原子時計とテープレコーダーで結んだ電波干渉計が、VLBI(very long baseline interferometer=超長基線電波干渉計)である。電波干渉計の発展型ではあるが、地球全体を望遠鏡とし、角度で1秒の1000分の1以上という飛躍的な超高分解能を達成した。宇宙ジェットの中心部、星の形成の核などの微細構造の観測に威力を発揮し、全世界を包むVLBIネットワークがつくりあげられている。日本が宇宙に打ち上げたパラボロイド鏡と地上の電波望遠鏡とを結ぶ「宇宙VLBI」も実現している。
(6)ミリ波サブミリ波天文学 星間分子を中心とする観測で、高精度技術を要するミリ波天文学が発展した。日本は、その中心的存在である。将来重要な分野は、ミリ波より波長が短いサブミリ波(波長0.3~1ミリメートル)で、可視光と電波の間のギャップを埋める領域である。地上では困難ながら一部の波長で観測可能で、各国で中口径ないし小口径のサブミリ波望遠鏡が競ってつくられている。日本、アメリカ、ヨーロッパ合同でチリの高地に「アルマALMA」(アタカマ巨大ミリ波サブミリ波干渉計Atacama Large Millimeter/submillimeter Array。愛称・アンデス巨大電波望遠鏡)を建設する「アルマ計画」での観測も開始された。サブミリ波では、星間分子だけでなく、原子のスペクトル線や固体微粒子(ダスト)の観測が可能になることは重要で、太陽系外惑星の形成などの研究が進むであろう。[海部宣男]
『海部宣男著『銀河から宇宙へ』(1972・新日本出版社) ▽西村史朗・海部宣男編『現代天文学講座11 宇宙の観測 光と電波による観測』(1981・恒星社厚生閣) ▽海部宣男著『電波望遠鏡をつくる』(1986・大月書店) ▽赤羽賢司・海部宣男・田原博人著『宇宙電波天文学』(1988・共立出版) ▽祖父江義明著『電波でみる銀河と宇宙』(1988・共立出版) ▽科学朝日編『天文学の20世紀』(1999・朝日新聞社) ▽前田耕一郎著『電波の宇宙』(2002・コロナ社) ▽平林久・黒谷明美著『星と生き物たちの宇宙――電波天文学/宇宙生物学の世界』(集英社新書)』

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