越前出目家(読み)えちぜんでめけ

改訂新版 世界大百科事典 「越前出目家」の意味・わかりやすい解説

越前出目家 (えちぜんでめけ)

近世世襲能面作家の家系。室町時代の末から江戸時代を通じて能面制作の主流をなし,出目本家ともいわれる。三光坊の甥二郎左衛門満照が開祖で,彼は天文(1532-55)ごろ活躍したと伝えられ,滋賀県西教寺の木造真盛上人像(1581)は彼の作品と考えられている。2代二郎左衛門則満,3代源助秀満(古源助)までは越前府中(現,福井県越前市)に住したが,4代元休満永(古元休)は京都に移り,のち10代満守まで江戸に定住した。江戸時代には,出目家の正流としての格式を誇ったが,作家としてすぐれた人物は少なく,わずかに3代古源助(1616没)が近世初期の面工として名を残している。若い女面〈万媚〉は彼の創作とされ,また新作面の古色付け,模作のための〈切り形〉の発明なども彼の手に帰されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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