日本大百科全書(ニッポニカ) 「足引絵巻」の意味・わかりやすい解説 足引絵巻あしびきえまき 比叡(ひえい)山延暦(えんりゃく)寺東塔の僧と南都奈良興福寺東南院の稚児(ちご)との恋愛を中心に描いた絵巻。5巻。稚児の継母の陰謀、山門(延暦寺)と奈良の大衆との争いなどを織り込み、最後に両人がそれぞれ成道(じょうどう)入滅するまでの物語がつづられている。室町時代に流行した児(ちご)物語の一つであるが、恋愛よりもむしろ成道に重点を置き、仏教思想の色彩が強い。室町時代(16世紀)の制作で、筆者は不詳。大阪府池田市の逸翁(いつおう)美術館蔵。[村重 寧] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例