跨ぶ(読み)あふどこぶ

精選版 日本国語大辞典 「跨ぶ」の意味・読み・例文・類語

あふどこ・ぶ【跨】

  1. 〘 自動詞 バ四段活用 〙 股にかけて越える。またがる。また、足をそろえておどりあがる。あふどこむ。あふづくむ。あつどこぶ。あどこぶ。
    1. [初出の実例]「汝(いまし)が祖等(おやたち)蒼海(あをうなばら)を渡り、万里(とほきみち)を跨(アフトコヒ)て、水表の政を平(む)けて」(出典日本書紀(720)舒明九年是歳(北野本訓))

跨ぶの語誌

( 1 )訓点資料に特有の語。古くは「あふどこむ」「あふづくむ」であったかと考えられる。「あ」は足の意と思われるが、「ふどこむ」「ふづくむ」については未詳。「どこ」と「づく」とはuとoとの交替であろう。
( 2 )その後、語尾「む」が「ぶ」に転じて「あふどこぶ」の語形を生じ、さらに、「ふ」の撥音化「ム」表記である「あむどこぶ」となり、促音化して「あつどこぶ」「あどこぶ」と表記されたものと考えられる。


あむどこ・ぶ【跨】

  1. 〘 自動詞 バ上二段活用 〙 「あふどこぶ(跨)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「少林の伽藍閑(かん)居寺等有り。皆巖壑(かむかく)に跨(アムトコヒ)(よ)りて、林泉を縈(けい)帯せり」(出典:大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)九)

あどこ・ぶ【跨】

  1. 〘 自動詞 バ上二段活用 〙 「あふどこぶ(跨)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「紀生磐(おひいは)宿禰任那に跨(アトコヒ)(よ)りて高麗(こま)交通(かよ)ふ」(出典:日本書紀(720)顕宗三年是歳(図書寮本訓))

あつどこ・ぶ【跨】

  1. 〘 自動詞 バ上二段活用 〙 「あふどこぶ(跨)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「跨 アツトコフ」(出典:伊呂波字類抄(鎌倉))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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