宿禰(読み)スクネ

デジタル大辞泉 「宿禰」の意味・読み・例文・類語

すくね【宿×禰】

古く、人名に添えた敬称野見宿禰のみのすくねの類。
天武天皇制定した八色やくさかばねの第三位。主にむらじ姓の神別氏族に与えられた。大伴宿禰の類。

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精選版 日本国語大辞典 「宿禰」の意味・読み・例文・類語

すくね【宿禰】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 大化前代、貴人を親しみ尊んでいう敬称。
    1. [初出の実例]「大前 小前須久泥(スクネ)が 金門蔭 かく寄り来ね 雨立ち止めむ」(出典古事記(712)下・歌謡)
  3. 古代の姓(かばね)一つ。天武天皇一三年(六八四)制定された八色(やくさ)の姓の第三位。主として連(むらじ)姓の神別氏族に与えられた。のち、奈良末期以降有力な氏に与えられ、朝臣に次ぐ姓となった。
    1. [初出の実例]「更、諸氏之族の姓を改めて八色の姓を作りて〈略〉一つに曰はく真人(まひと)二つに曰はく朝臣(あそみ)三つに曰はく宿禰(スクネ)〈略〉八つに曰はく稲置(いなき)」(出典:日本書紀(720)天武一三年一〇月(寛文版訓))

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改訂新版 世界大百科事典 「宿禰」の意味・わかりやすい解説

宿禰 (すくね)

古代日本における称号の一つ。後に(かばね)になる。宿禰は,古く足尼とつくり,もっとも古い用例は,埼玉県行田市稲荷山古墳出土の鉄剣銘に〈多加利足尼〉とみえる。宿禰(足尼)は,少兄(スクナエ)の約で,高句麗の官名の小兄に由来するという説もある。古い時代の称号である宿禰は,5世紀半ば以前に,主として畿内地方の豪族が用いていたといわれているが,姓となったのは684年(天武13)で,八色(やくさ)の姓の一つ。《日本書紀》天武13年10月条に〈更諸氏の族姓を改めて,八色の姓を作りて,天下の万姓を混す。……三つに曰はく,宿禰〉と第3位にみえ,その年の12月に大伴連(むらじ)・佐伯連など50氏が宿禰の姓を賜った。宿禰の姓は,主として連姓の氏族に賜り,天神・天孫の後裔と称する有力な氏族が多い。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「宿禰」の意味・わかりやすい解説

宿禰
すくね

古代の姓(かばね)の一種。この宿禰という姓は古くから用いられ、有力な豪族個人の尊称としてしばしば使われていた。しかし壬申(じんしん)の乱(672)以後、天武(てんむ)天皇は684年(天武天皇13)八色(やくさ)の姓を定めて、従来の姓を天皇中心に再編成した。その際、宿禰は八色の姓の第三位(一位は真人(まひと)、二位は朝臣(あそん))に定められ、大伴(おおとも)、佐伯(さえき)らの有力豪族に与えられた。

[原島礼二]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宿禰」の意味・わかりやすい解説

宿禰
すくね

古代の (かばね) の一つ。古くは人名につけた敬称であったが,天武 13 (684) 年の八色の姓 (やくさのかばね) 制定で第3位の姓となった。主として従来, (むらじ) 姓をもつ者に賜与され,真人 (まひと) ,朝臣 (あそん) に次いで高位を占めたが,奈良時代後半以降になると,出身を問わず,功績などのあった氏などに与えられるようになった。

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百科事典マイペディア 「宿禰」の意味・わかりやすい解説

宿禰【すくね】

日本古代の(かばね)の一種。古くは単に敬称。天武朝の八色(やくさ)の姓の第3位で,連(むらじ)姓の有力豪族などに賜与された。
→関連項目

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「宿禰」の解説

宿禰
すくね

古代のカバネ。本来は有力豪族の名の下に付した尊称であったが,684年(天武13)の八色の姓(やくさのかばね)で第3等のカバネとされた。同年宿禰姓を賜った大伴連(むらじ)・佐伯連など50氏は,天神・天孫の後裔と称する神別諸氏の有力な旧連姓氏族である。奈良末期以降,こうした出自との関連は無視され,帰化人にも授けられた。平安中期以降は宿禰姓の氏のうち小槻(おづき)氏を禰家(でいけ)と称した。

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旺文社日本史事典 三訂版 「宿禰」の解説

宿禰
すくね

古代の姓 (かばね) の一つ
もと人名についてその人を敬う意味をもっていたが,684年制定の八色 (やくさ) の姓では真人 (まひと) ・朝臣 (あそん) につぐ第3位の姓となった。おもに連 (むらじ) 姓の神別氏に授与された。

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世界大百科事典(旧版)内の宿禰の言及

【氏姓制度】より

… このような氏の再編の作業はひきつづき行われ,684年(天武13)に,〈八色の姓(やくさのかばね)〉が制定された。その目的は,上位の4姓(かばね),つまり真人(まひと),朝臣(あそん),宿禰(すくね),忌寸(いみき)を定めることで,真人は,継体天皇より数えて5世以内の世代の氏にあたえられたといわれ,皇子・諸王につぐ皇親氏族を特定したので,飛鳥浄御原令で,官位を皇子・諸王と貴族(諸臣)で区別したことと共通する。したがって,貴族の姓(かばね)としては,朝臣,宿禰,忌寸の三つで,これが〈甲子の宣〉の大氏,小氏,伴造氏の発展形であり,その間にさらに氏族の再編が進められ,朝臣52氏,宿禰50氏,忌寸11氏におさめられたのである。…

【八色の姓】より

…天武の新姓ともいう。《日本書紀》天武13年10月条に〈諸氏の族姓(かばね)を改めて,八色の姓を作りて,天下の万姓を混(まろか)す〉とあり,真人(まひと),朝臣(あそん∥あそみ),宿禰(すくね),忌寸(いみき),道師(みちのし),(おみ),(むらじ),稲置(いなぎ)の8種類があげられている。第1の真人は,主として継体天皇以降の天皇の近親で,従来,公()(きみ)の姓を称していたものに授けられた。…

※「宿禰」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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