日本大百科全書(ニッポニカ) 「踊り唄」の意味・わかりやすい解説
踊り唄
おどりうた
日本民謡分類上の一種目。本来は祝い唄の一種であり、人々がなにか行動をおこすに際して、その成功と過程での身の安全などを願い、また完成したおりの感謝の気持ちを唄(うた)に託して神々に捧(ささ)げるものである。祝い唄を奉納する際には、その唄をより効果的にするため、身振り手振りを加え、さらには足で地面を踏み付けることで、邪神を封じ込めるべく踊りを添えるが、これが踊り唄である。しかし、しだいに唄よりも踊りにその中心が移り、踊ることに興味が増してくると、そのおりおりの流行(はやり)唄を歌い踊って神々への奉納とすることになり、ついには神より人々が楽しむものへと移っていった。その結果、踊り唄は酒席の余興踊り唄に変わってしまった。今日の踊り唄のほとんどは、早間の、軽快なものが多い。それは酒席の座をにぎわすのが目的だからである。
[竹内 勉]