日本大百科全書(ニッポニカ) 「祝い唄」の意味・わかりやすい解説
祝い唄
いわいうた
日本民謡分類上の一種目。人々がなにか行動をおこすとき、その成功とその過程における身の安全などを願って神々に祈る際に捧(ささ)げる唄。唄を捧げる場としては、大きく二つに分けられる。一つは行動をおこす以前に神々に祈願して行うもの、もう一つは行動が終了してからその成果を感謝して行うものである。正月や婚礼の祝い唄は前者であり、「大漁節(たいりょうぶし)」などは後者である。また年中行事唄のようになっているものも、本来は前者で、ただそれが暦と結び付いて定期的になったものである。祝い唄の特徴は、歌詞に、めでたさをたたえ、こうありたいという願望のようなものを並べたり、神々の力を褒めたたえることで、神々に暗示を与えようとする傾向があることである。曲はゆっくりしたもので、折り目正しく、格調あるものが好まれる。
[竹内 勉]