軛の下で(読み)くびきのしたで(その他表記)Под Игото/Pod Igoto

日本大百科全書(ニッポニカ) 「軛の下で」の意味・わかりやすい解説

軛の下で
くびきのしたで
Под Игото/Pod Igoto

ブルガリアの作家イワン・バーゾフの長編小説。オスマントルコの軛の下であえぐ民衆、トルコにへつらって同族を売る上流階級、民族運動に挺身(ていしん)する青年たちの愛と苦悩などを織り交ぜながら、革命前夜のブルガリア人の屈辱的生活と、惨敗に帰した1876年の四月蜂起(ほうき)のありさま史実にのっとって描いたもので、作者の父も進歩的富裕商人として登場させている。反露派政権から逃れてオデッサ(現、オデーサ)に亡命中書き始め、帰国後1894年に発表して好評を得、1910年には自ら戯曲化した。素朴な構成ではあるが、ブルガリア文学を世界的水準にまで高めた作品として現在でも高く評価され、各国語に翻訳もされている。

[真木三三子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の軛の下での言及

【バゾフ】より

…解放前から詩を書いていたが,詩のほか小説や戯曲などあらゆる分野で文才を発揮,国民文学の父と呼ばれている。レフスキら〈復興〉期に活躍した人々を歌った《忘れられた人たちの歌》(1884),ルーマニアでの解放運動家たちを描いた中編《寄る辺なき人々》(1884)などが有名だが,とくに〈四月蜂起〉を扱った《軛(くびき)の下で》(1890)は世界文学の古典に数えられ,邦訳も含め多くの外国語に訳されている。【松永 綠彌】。…

※「軛の下で」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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