農具揃(読み)のうぐせん

改訂新版 世界大百科事典 「農具揃」の意味・わかりやすい解説

農具揃 (のうぐせん)

〈のうぐぞろえ〉とも呼ぶ。飛驒国(岐阜県)高山に隣接する蓑輪村で,大坪二市(1827-1907)が1865年(慶応1)に書きあげた農書だが,公表されたのは明治初期である。1月から12月まで各月別に,年中行事,各種の農村習俗を記載しているが,書名どおり中心は月ごとに使用される農具の説明で,約350種がとりあげられ,大蔵永常著《農具便利論》などとともに貴重な史料である。ことわざや方言などの紹介も多く,狭義の技術書というより民俗学的記録として興味深い
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報