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農書 のうしょ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

農書
のうしょ

自然科学として農学が成立する以前の農業書。西ヨーロッパでは古くはヘシオドスの『仕事と日々』,ウェルギリウスの『農耕詩』などから,J.フィッツバート『農業全書』,J.タル『馬耨農法』,アルブレヒト・テーア『合理的農業原論』など有名なものが多い。日本最初の農書としては,伊予国の松浦宗案『清良記』7巻があげられる。永禄7(1564)年の書とされていたが,今日では寛永年間(1624~43)以後の著とする見解が強い。元禄頃(1600年代末)になると『百姓伝記』『会津農書』『才蔵記』などが出るが,最も代表的なものは宮崎安貞の『農業全書』で,約 150種の作物,畜類の栽培・飼育法を詳述してある。江戸時代後期のものには佐藤信淵の『草木六部耕種法』,大蔵永常の『農家益』,島津重豪の『成形図説』などがあるが,中国やオランダの文献の翻訳の趣が強くなっている。中国では『陳旉農書』『王禎農書』などが有名。

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デジタル大辞泉の解説

のう‐しょ【農書】

農業に関する書物

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百科事典マイペディアの解説

農書【のうしょ】

近代的農学成立以前に記された農業に関する書。戦国期伊予(いよ)国で記された《清良(せいりょう)記》が早いもの。江戸時代には各地の農業の特色を記した三河(みかわ)の《百姓伝記》,会津(あいづ)の《会津農書》,農業技術普及を目的に記された宮崎安貞(やすさだ)の《農業全書》,大蔵永常(ながつね)の《農具便利論》など多くの農書が出現。

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世界大百科事典 第2版の解説

のうしょ【農書】

近代的農学が成立する以前の農業に関する書物をいう。主として農業技術をその内容とするが,農民の生活にかかわる万般にわたるものなどもある。農書の語は中国語に由来し,おそくとも南北朝時代にその例を見いだせる。
[中国]
 長い歴史と広大な面積を持ち,かつ著述を尊重する中国では農書の類もすこぶる多い。そのうえ農書の概念も昔から一定していない。王毓瑚(おういくこ)《中国農学書録》は従来の農書の類を,(1)総合的農書,(2)気象と農耕技術の関連を取り扱った農書,(3)各種専譜,(4)蚕桑専書,(5)獣医書籍,(6)野菜専著,(7)治蝗書,(8)農家月令書(いわゆる農事暦),(9)農家百科全書的農書,に分類している。

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大辞林 第三版の解説

のうしょ【農書】

農業に関する書物。農業書。農学が成立する近代以前のものをいう。

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世界大百科事典内の農書の言及

【清良記】より

…30巻。全体は軍記物語であるが,第7巻が《親民鑑月集》と題されて,清良の農政上の諮問に対して松浦宗案が単に農政の心得だけでなく,土壌,作物の品種・栽培,肥料,農業労働等について詳細な意見を述べているところから,経済史・農業史の立場から《清良記》といえば,この巻をさし,かつ日本最古の農書として紹介されていた。ただし研究が進むにつれて,異本が多く,内容的にも問題が少なくなく,著者も1654年(承応3)に没した土居水也とされる等,その記載事項のすべてが戦国末期の農業事情を記述しているとは断定しがたく,むしろ近世農業への移行過程を示すものとされている。…

※「農書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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