朝日日本歴史人物事典 「大坪二市」の解説
大坪二市
生年:文政10.9.9(1827.10.29)
幕末明治期,飛騨国(岐阜県)の農事改良,普及に努めた篤農家,文人。飛騨で一,二を争う豪農吉城郡国府村岡田理春の次男。大坪家へ婿養子に入り仁助と改名,のち二市。耕地の区画整理をはじめ,「はさ」方式による稲の乾燥,茶・菜種・桐などの普及や桑・とうもろこしの改良,馬鈴薯の2回作りなどをすすめた。明治14(1881)年の第1回全国農談会に棚橋五郎(美濃安八郡)と共に参加。「考える農業」を説き続け,他方で霊芝庵菊仙と号し川柳,狂歌をよくした彼は,典型的な飛騨豪農である。著述に『農具揃』や『明治見聞誌』『履歴七部集』などがある。<参考文献>『国府村史』,丸山幸太郎「『農具揃』現代語訳・解題」(『日本農書全集』24巻)
(松田之利)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報